3.高齢者の結核

日本の結核患者数は順調に減少して,10年後には低蔓延国となる予測である.低蔓延では診断が難しくなることがいわれているが,現在日本の結核の半数を高齢者が占めている.高齢者結核の特徴は,症状が非特異的で,胸部画像所見も他病変に混じていたり,空洞病変がより少ないなど診断が困難なことである.その上,治療も副作用や合併症や高齢そのものによる耐用性の低さから容易でないことがある.治療開始時のPSや栄養状態も非高齢者に比し有意に低い.高齢者結核への対策としては,早期発見・早期治療開始を目標として,高齢者施設等での入所時健診や定期的健診,医療機関では画像ばかりでなく抗酸菌を早めにチェックすることが奨められる....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 47; no. 6; pp. 554 - 557
Main Author 豊田, 恵美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 2010
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.47.554

Cover

More Information
Summary:日本の結核患者数は順調に減少して,10年後には低蔓延国となる予測である.低蔓延では診断が難しくなることがいわれているが,現在日本の結核の半数を高齢者が占めている.高齢者結核の特徴は,症状が非特異的で,胸部画像所見も他病変に混じていたり,空洞病変がより少ないなど診断が困難なことである.その上,治療も副作用や合併症や高齢そのものによる耐用性の低さから容易でないことがある.治療開始時のPSや栄養状態も非高齢者に比し有意に低い.高齢者結核への対策としては,早期発見・早期治療開始を目標として,高齢者施設等での入所時健診や定期的健診,医療機関では画像ばかりでなく抗酸菌を早めにチェックすることが奨められる.治療開始早期から,栄養療法,廃用防止のためにリハビリテーションの併用が必要と思われる.また未治療の古い病巣のある人には,潜在性結核感染治療も考慮される.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.47.554