研究 Laser ablationにおける照射法の基礎的研究

近年,不整脈外科領域において,laser ablationの臨床応用が報告されている.しかし,本法は,心筋破裂や穿孔といった致命的な合併症を引き起こす危険性がある.より安全かつ正確な照射を施行するため,著者らは,従来の非接触法,接触法,さらに独自に開発したプローブを用いた照射法(新型法)の3種の照射方法の正確さおよび安全性について,比較検討を行った.対象は雑種成犬30頭,左心室自由壁の12カ所に照射部位を設定した.レーザー装置はSLT Japan社製CL50型Nb-YAGレーザーを用いた.新型プローブは塩化ビニール製の中空の筒であり先端をポリ塩化ビリニデンフィルムで覆い,内部を0℃ 生食水で灌...

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Published in心臓 Vol. 23; no. 11; pp. 1231 - 1237
Main Authors 渡辺, 洋宇, 三崎, 拓郎, 大竹, 裕志, 渡辺, 剛, 向井, 恵一, 松永, 康弘, 坪田, 誠, 岩, 喬, 高橋, 英雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1991
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.23.11_1231

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Summary:近年,不整脈外科領域において,laser ablationの臨床応用が報告されている.しかし,本法は,心筋破裂や穿孔といった致命的な合併症を引き起こす危険性がある.より安全かつ正確な照射を施行するため,著者らは,従来の非接触法,接触法,さらに独自に開発したプローブを用いた照射法(新型法)の3種の照射方法の正確さおよび安全性について,比較検討を行った.対象は雑種成犬30頭,左心室自由壁の12カ所に照射部位を設定した.レーザー装置はSLT Japan社製CL50型Nb-YAGレーザーを用いた.新型プローブは塩化ビニール製の中空の筒であり先端をポリ塩化ビリニデンフィルムで覆い,内部を0℃ 生食水で灌流した, 病理組織学的には,非i接触群と新型群とでは明らかな違いはなく,接触群にのみ組織欠損が認められた.同一照射エネルギーにおける照射心筋容積値を比較すると,接触法は非接触法,新型法に比し照射容積が有意に小であった.また,非接触法と新型群とで比較したところ,平均照射容積値に有意差はなかった.しかし,測定値のばらつきを比較すると,非接触法は新型法に比し有意にばらつきが大であった.以上より,接触法は,非接触法に比しエネルギー効率が悪く,破裂穿孔の危険性も高いため,1aser ablationには不適と考えられた.また,新型法は非接触法と同様の焼灼が可能であり,よりばらつきの少ない正確かつ安全なlaser ablationが可能であった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.23.11_1231