飼料の魚粉代替が2種のブリ抗菌ペプチド遺伝子発現量に及ぼす影響

本研究では,植物原料による魚粉の代替がブリの抗菌ペプチド遺伝子発現量に及ぼす影響を明らかにするため,2種の抗菌ペプチド(ヘプシジンとピスシジン)の組織分布と,魚粉代替飼料で飼育したブリの抗菌ペプチド遺伝子発現量を測定した。組織分布観察では,脳,鰓,頭腎,腸,白血球,肝臓,表皮および脾臓を採取し,飼育試験では,魚粉を大豆油粕(SBM)で段階的に代替した飼料(SBM0, SBM15, SBM30)で5週間飼育し,肝臓,頭腎および脾臓の抗菌ペプチド遺伝子発現量を RT-qPCR で測定した。ヘプシジンは肝臓で,ピスシジンは脾臓で最も発現していた。また,5週間の飼育後,SBM15 区と SBM30 区...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in水産増殖 Vol. 72; no. 1; pp. 9 - 20
Main Authors 松本, 暢久, 泉水, 彩花, 深田, 陽久
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本水産増殖学会 2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0371-4217
2185-0194
DOI10.11233/aquaculturesci.72.9

Cover

More Information
Summary:本研究では,植物原料による魚粉の代替がブリの抗菌ペプチド遺伝子発現量に及ぼす影響を明らかにするため,2種の抗菌ペプチド(ヘプシジンとピスシジン)の組織分布と,魚粉代替飼料で飼育したブリの抗菌ペプチド遺伝子発現量を測定した。組織分布観察では,脳,鰓,頭腎,腸,白血球,肝臓,表皮および脾臓を採取し,飼育試験では,魚粉を大豆油粕(SBM)で段階的に代替した飼料(SBM0, SBM15, SBM30)で5週間飼育し,肝臓,頭腎および脾臓の抗菌ペプチド遺伝子発現量を RT-qPCR で測定した。ヘプシジンは肝臓で,ピスシジンは脾臓で最も発現していた。また,5週間の飼育後,SBM15 区と SBM30 区では SBM0 区と比較し,脾臓および頭腎でのピスシジン遺伝子発現量が有意に低かった。以上のことから,ブリにおいて,飼料の低魚粉化と植物原料の高配合の一方もしくは両方により,抗菌ペプチド遺伝子の発現量が減少することが示唆された。
ISSN:0371-4217
2185-0194
DOI:10.11233/aquaculturesci.72.9