症例 新生児遷延性肺高血圧症が持続している1幼児例

症例は生後28日の男児である.児は新生児期に新生児遷延性肺高血圧症の治療を受け,生後19日目に元気に退院した.生後28日目に突然,ニアミス状態で発見され,緊急入院となった.入院期間中,ニアミス発作が4回ほどみられ,蘇生を受けた.生後3カ月の心臓カテーテル検査で基礎心疾患を有しない高度の肺高血圧症と診断した.心臓カテーテル検査後,プロスタサイクリン(PGI2)を開始し,ニアミス発作とチアノーゼは消失した.1歳2カ月の時に実施した第2回目の心臓カテーテル検査で依然,肺高血圧を認めるが,肺血管抵抗は45単位より12.7単位に低下していた.動脈管レベルにおける血流パターンは初期には右左短絡であったが,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 27; no. 11; pp. 1022 - 1026
Main Authors 太田, 明, 古川, 正強, 早渕, 康信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1995
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.27.11_1022

Cover

More Information
Summary:症例は生後28日の男児である.児は新生児期に新生児遷延性肺高血圧症の治療を受け,生後19日目に元気に退院した.生後28日目に突然,ニアミス状態で発見され,緊急入院となった.入院期間中,ニアミス発作が4回ほどみられ,蘇生を受けた.生後3カ月の心臓カテーテル検査で基礎心疾患を有しない高度の肺高血圧症と診断した.心臓カテーテル検査後,プロスタサイクリン(PGI2)を開始し,ニアミス発作とチアノーゼは消失した.1歳2カ月の時に実施した第2回目の心臓カテーテル検査で依然,肺高血圧を認めるが,肺血管抵抗は45単位より12.7単位に低下していた.動脈管レベルにおける血流パターンは初期には右左短絡であったが,最近では左右短絡優位を示している.生後6カ月で退院し,在宅酸素療法(HOT)を実施している.HOTは患児の情緒的発達を促し,医療経済的な負担を軽減させた.本症例は新生児遷延性肺高血圧症の長期持続例であるが原発性肺高血圧症との関連でみると興味深い.しかし,これまで新生児遷延性肺高血圧症の慢性型に関する報告はまれで,自然歴をみる上で貴重な症例と思われる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.27.11_1022