RT-PCRによるパラフイン標本からの牛ウイルス性下痢ウイルス遺伝子検出法の検討

RT-PCRによるパラフイン標本からの牛ウイルス性下痢ウイルス (BVDV) 遺伝子検出法を検討した. RNA抽出前の細胞溶解法 (前処理) を検討したところ, プロテイナーゼK (PK) とドデシル硫酸ナトリウム (SDS) を組み合わせた前処理法がRNA抽出効率において最も優れ, RT-PCRのBVDV遺伝子の検出感度は, SDS単独処理の1,000倍, 前処理未実施の100~1,000倍であった. 一方, PK単独処理では増幅が得られなかった. 今回検討した3種類のプライマー組の中でVilcekら [17] の報告したプライマー組 (324と326) の検出率が最も高かったが, PCRの...

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Published in日本獣医師会雑誌 Vol. 55; no. 10; pp. 652 - 657
Main Authors 関, 慶久, 吉間, 昌行, 今井, 邦俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 2002
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Summary:RT-PCRによるパラフイン標本からの牛ウイルス性下痢ウイルス (BVDV) 遺伝子検出法を検討した. RNA抽出前の細胞溶解法 (前処理) を検討したところ, プロテイナーゼK (PK) とドデシル硫酸ナトリウム (SDS) を組み合わせた前処理法がRNA抽出効率において最も優れ, RT-PCRのBVDV遺伝子の検出感度は, SDS単独処理の1,000倍, 前処理未実施の100~1,000倍であった. 一方, PK単独処理では増幅が得られなかった. 今回検討した3種類のプライマー組の中でVilcekら [17] の報告したプライマー組 (324と326) の検出率が最も高かったが, PCRのサイクル数を35回から45回に増やした場合や2nd PCRの実施によりRT-PCRの検出感度は向上した. 以上の成績から, パラフィン標本からのBVDV遺伝子検出には, PKとSDSで処理後RNAを抽出し, Vilcekらのプライマー組を用いて45サイクルのRT-PCRを行う方法が実用的と思われた.
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma1951.55.652