症例 ステロイド骨格筋,心筋症が疑われる1剖検例

ステロイド治療中の患者に,ステロイド筋症の合併することが知られている.今回,我々は,ステロイド骨格筋,心筋症が疑われる1剖検例を経験したので報告する.症例は47歳,男性.気管支喘息にてtriamcinolone acetonide 40mg/月の筋注を受け,体重減少,四肢筋力低下および筋萎縮,労作時の呼吸困難,動悸を認めるようになった.筋注は80mgに増量されたが症状は改善がみられず,心不全の増悪で入院となった.胸部X線写真はCTR64%,ECGは左室肥大,断層心エコーは著明な左室の拡大,全体的な壁運動の低下を認め,拡張型心筋症の診断にて治療を開始したが,多臓器不全を合併し死亡した.病理解剖で...

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Published in心臓 Vol. 24; no. 10; pp. 1181 - 1186
Main Authors 山本, 喜一郎, 足達, 教, 真弓, 文仁, 野津, 原昭, 藤浦, 芳丈, 岡本, 俊昭, 松山, 公明, 戸嶋, 裕徳, 神代, 正道, 森松, 稔, 村橋, 信夫, 大内田, 昌直
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1992
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Summary:ステロイド治療中の患者に,ステロイド筋症の合併することが知られている.今回,我々は,ステロイド骨格筋,心筋症が疑われる1剖検例を経験したので報告する.症例は47歳,男性.気管支喘息にてtriamcinolone acetonide 40mg/月の筋注を受け,体重減少,四肢筋力低下および筋萎縮,労作時の呼吸困難,動悸を認めるようになった.筋注は80mgに増量されたが症状は改善がみられず,心不全の増悪で入院となった.胸部X線写真はCTR64%,ECGは左室肥大,断層心エコーは著明な左室の拡大,全体的な壁運動の低下を認め,拡張型心筋症の診断にて治療を開始したが,多臓器不全を合併し死亡した.病理解剖では,肉眼的に四肢近位筋の萎縮,組織学的にtype 2線維の萎縮がみられ,心では重量560gと増加,冠動脈に狭窄所見はないが組織学的に心筋細胞の萎縮,壊死,線維化を認めた.心不全の原因として,骨格筋と同様,フッ化ステロイドの影響が考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.24.10_1181