Sino-tubular junction狭窄症例に対するPerceval生体弁(R)の適切な留置を経食道心エコーで評価し得た一例
症例は78歳女性。sino-tubular junction(STJ)の狭窄を伴う重症大動脈弁狭窄症に対して外科的大動脈弁置換術を予定した。高度に石灰化したSTJは17 mmと狭窄し,通常の人工弁の通過は困難と判断した。高度な石灰化のため経カテーテル大動脈弁置換術もリスクが高く,小さく折り畳んで留置するPerceval生体弁®(Corcym Japan)であれば,狭窄したSTJを通過できると考えた。STJ通過から弁留置の間,大動脈壁と留置デバイスとの間隙がほとんど無く,留置位置は目視で確認できなかったが,胸腔鏡を留置デバイスと大動脈壁の間に挿入する事で視野を得ることができた。弁留置後の経食道心...
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Published in | Cardiovascular Anesthesia Vol. 28; no. 1; pp. 159 - 163 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
01.09.2024
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Subjects | |
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ISSN | 1342-9132 1884-7439 |
DOI | 10.11478/jscva.2023-3-007 |
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Summary: | 症例は78歳女性。sino-tubular junction(STJ)の狭窄を伴う重症大動脈弁狭窄症に対して外科的大動脈弁置換術を予定した。高度に石灰化したSTJは17 mmと狭窄し,通常の人工弁の通過は困難と判断した。高度な石灰化のため経カテーテル大動脈弁置換術もリスクが高く,小さく折り畳んで留置するPerceval生体弁®(Corcym Japan)であれば,狭窄したSTJを通過できると考えた。STJ通過から弁留置の間,大動脈壁と留置デバイスとの間隙がほとんど無く,留置位置は目視で確認できなかったが,胸腔鏡を留置デバイスと大動脈壁の間に挿入する事で視野を得ることができた。弁留置後の経食道心エコー(transesophageal echocardiography;TEE)では,弁の開閉や位置の異常,冠血流の低下を認めなかった。微量の経弁逆流を認めたが経過観察可能と判断した。術後8日目の経胸壁心エコーで弁逆流は認めなかった。Perceval生体弁留置後は,TEEによる弁の適切な展開,冠動脈との位置関係,逆流の有無とその重症度の評価が必要である。弁座部分は通常の生体弁と同様に高エコーで観察が困難な場合がある。本症例はSTJの狭窄により術野で弁の位置を目視で確認することが困難であり,TEEの重要性が通常の手術に比べて高い症例であった。 |
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ISSN: | 1342-9132 1884-7439 |
DOI: | 10.11478/jscva.2023-3-007 |