顔面非対称を伴う反対咬合患者の顎矯正外科治療前後における舌の調音パターンの観察

「緒言」 顎矯正外科治療を必要とする顎変形症においては, その調音器官の構造的な制約によって, 調音機能障害を有するものは少なくない1-12). したがって, 顎矯正外科治療による歯, 歯槽部を含む口蓋, 舌, 舌骨, 上下顎骨などの口腔器官の形態的変化と調音機能の変化との関連性を明らかにすることができれば, 治療にともなう調音障害の改善に対して明確な指針を得ることができると考えられる. これまで, 骨格型反対咬合者の調音様相の特徴や, その治療前後における調音様相の変化に関する研究は, 発語明瞭度試験に代表される聴覚的な研究2,3,8,9,13-16), 周波数分析に代表される音響学的な研究...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 4; no. 1; pp. 1 - 14
Main Authors 大森, 勇市郎, 粟生田, 俊彦, 菅原, 準二, 三谷, 英夫, 川村, 仁, 河内, 満彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 1994
日本顎変形症学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd1991.4.1

Cover

More Information
Summary:「緒言」 顎矯正外科治療を必要とする顎変形症においては, その調音器官の構造的な制約によって, 調音機能障害を有するものは少なくない1-12). したがって, 顎矯正外科治療による歯, 歯槽部を含む口蓋, 舌, 舌骨, 上下顎骨などの口腔器官の形態的変化と調音機能の変化との関連性を明らかにすることができれば, 治療にともなう調音障害の改善に対して明確な指針を得ることができると考えられる. これまで, 骨格型反対咬合者の調音様相の特徴や, その治療前後における調音様相の変化に関する研究は, 発語明瞭度試験に代表される聴覚的な研究2,3,8,9,13-16), 周波数分析に代表される音響学的な研究4,10,11,17,18), パラトグラフィによる舌運動の観測13-16,19,20)など多方面で行われてきた. しかし, それらの多くは上下顎骨および上下歯列の前後的, あるいは垂直的位置関係の不調和に着目したものが多く, 下顎骨の著しい左右偏位や咬合平面の左右傾斜を伴った顔面非対称例に対する報告はない. そこで, 本研究では, このような症例について顎矯正外科治療に伴う顎態および咬合の変化と舌の調音様相の変化について観察した.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd1991.4.1