末梢神経伝導検査における振幅比, 持続時間比, 面積比の加齢による変化
末梢神経伝導検査の指標のうち, 脱髄性疾患を診断する際に重要と考えられる複合筋活動電位 (CMAP) の近位刺激/遠位刺激の振幅比 (A比), 持続時間比 (D比) および面積比を測定した. また, 感覚神経活動電位 (SNAP) のA比およびD比についても測定し, それら運動神経, 感覚神経の正常値を求め, 加齢による変化を検討した. 方法を厳密に規定した上で, 病歴および理学的所見にて末梢神経疾患の症候がない184名を対象とした. 対象全体ではCMAPのA比の平均-3標準偏差 (SD) は, 正中神経で0.79, 尺骨神経で0.74, 腓骨神経で0.59, 脛骨神経で0.48であった. D...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 32; no. 8-9; pp. 547 - 552 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
25.09.1995
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Subjects | |
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.32.547 |
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Summary: | 末梢神経伝導検査の指標のうち, 脱髄性疾患を診断する際に重要と考えられる複合筋活動電位 (CMAP) の近位刺激/遠位刺激の振幅比 (A比), 持続時間比 (D比) および面積比を測定した. また, 感覚神経活動電位 (SNAP) のA比およびD比についても測定し, それら運動神経, 感覚神経の正常値を求め, 加齢による変化を検討した. 方法を厳密に規定した上で, 病歴および理学的所見にて末梢神経疾患の症候がない184名を対象とした. 対象全体ではCMAPのA比の平均-3標準偏差 (SD) は, 正中神経で0.79, 尺骨神経で0.74, 腓骨神経で0.59, 脛骨神経で0.48であった. D比の平均+3SDはそれぞれ1.22, 1.19, 1.35, 1.32であった. 面積比の正常下限値はそれぞれ0.84, 0.78, 0.61, 0.62であった. 一方SNAPにおいてはCMAPに比べてA比はより小さくD比はより大で, ばらつきも大きかった. A比, D比および面積比について, 異常を判定する際には神経による差異を考慮して評価することが必要であり, とくに下肢では従来の成績との隔たりが大きかった. A比, D比, 面積比を10歳台から70歳台まで比較すると, 加齢による変化は認められなかった. その理由として, 持続時間自体は加齢により変化しないことが挙げられる. A比, D比, 面積比ともに加齢による変化は少なく, 末梢神経障害の評価上安定した有用な指標となりうる. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.32.547 |