ある小動物舍のドブネズミ Rattus norvegicus の棲息状況について : ネズミの生態と駆除に関する研究第 1 報
1)昭和31年7月17日から9月まで, 伝研構内の小動物飼育舎で, ネズミの棲息数及び行動範囲を推定する目的から, 記号放逐試験を行い, 併せて捕殺による駆除も実施し, この間総計54頭のドブネズミを捕獲した. 2)新個体がなくなるまでの記号放逐期間中に, 未記号の新個体を合計41頭捕獲したが全部ドブネズミRattus norvegicusであつた.捕獲成績からE(Y)=(N-x)pの式を用いた杉山氏の図式推定により捕息数を推定したところ約40頭となり, 最尤推定法では42頭でいわゆるexposed populationについてはかなり接近した値を得た.記号放逐に引続き行つた棲息実数を知り且つ...
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Published in | 衛生動物 Vol. 8; no. 4; pp. 209 - 213 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本衛生動物学会
1957
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ISSN | 0424-7086 2185-5609 |
DOI | 10.7601/mez.8.209 |
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Summary: | 1)昭和31年7月17日から9月まで, 伝研構内の小動物飼育舎で, ネズミの棲息数及び行動範囲を推定する目的から, 記号放逐試験を行い, 併せて捕殺による駆除も実施し, この間総計54頭のドブネズミを捕獲した. 2)新個体がなくなるまでの記号放逐期間中に, 未記号の新個体を合計41頭捕獲したが全部ドブネズミRattus norvegicusであつた.捕獲成績からE(Y)=(N-x)pの式を用いた杉山氏の図式推定により捕息数を推定したところ約40頭となり, 最尤推定法では42頭でいわゆるexposed populationについてはかなり接近した値を得た.記号放逐に引続き行つた棲息実数を知り且つ駆除する目的から約1カ月間捕殺を行つたところ結局新個体7, 記号個体19の合計26頭のドブネズミをえ, 更にその後2週間おいて新個体のみ6頭のドブネズミをえた.しかしこの捕殺数は放逐した個体数よりかなり少いことが注目された. 3)捕ソ記録から, 記号個体の捕獲率をπとし, 未記号個体の捕獲率をpとすると, π=0.196, p=0.357, となりこれから一度ワナに入つた個体は, 再びワナに入りにくくなる性質を持つことが示された. 4)又, 実際には生捕, 捕殺共にワナに対し全くexposeされない個体もあるのではないかと云うことを, 棲息数を推定する場合に考慮する必要があると思われる. 5)捕獲から再捕獲に至る間の移動距離平均は推定約6.4m, 個々の棲息に利用した面積は平均して推定約61m^2内(体重平均100g)であつた. |
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ISSN: | 0424-7086 2185-5609 |
DOI: | 10.7601/mez.8.209 |