日本における夏の猛暑へのテレコネクションパターンの寄与の定量化
日本における夏季の極端高温日は1週間以上持続することが知られており、JRA-55再解析データから求められる日本域平均の850 hPa面気温で測ることができる(本研究ではT850JPと呼ぶ)。異常気象と言えるような高温偏差はしばしば、日本域の気象に影響するいくつかのテレコネクションパターンに伴って生じるが、個々の高温事象に対するそれらの相対的寄与はいまだ定量化されていない。そこで本研究では、3つのテレコネクションパターン、すなわちPacific-Japan (PJ)、circumglobal teleconnection (CGT)、Siberianパターンの、1958~2019年の7、8月のT...
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Published in | 気象集誌. 第2輯 Vol. 100; no. 3; pp. 509 - 522 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
公益社団法人 日本気象学会
2022
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Subjects | |
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Summary: | 日本における夏季の極端高温日は1週間以上持続することが知られており、JRA-55再解析データから求められる日本域平均の850 hPa面気温で測ることができる(本研究ではT850JPと呼ぶ)。異常気象と言えるような高温偏差はしばしば、日本域の気象に影響するいくつかのテレコネクションパターンに伴って生じるが、個々の高温事象に対するそれらの相対的寄与はいまだ定量化されていない。そこで本研究では、3つのテレコネクションパターン、すなわちPacific-Japan (PJ)、circumglobal teleconnection (CGT)、Siberianパターンの、1958~2019年の7、8月のT850JPへの影響を、再解析データから得られる、8日のカットオフ時間スケールでローパスフィルタを施された偏差場を用いて調査した。 線型回帰分析によって、上記の3パターンのピーク1~2日後にT850JPは大きな正偏差を示す傾向にあることが分かった。この関係に基づいて、T850JPと3テレコネクションパターンの指数との間の回帰分析から求めたパラメータを用いて、重回帰モデルにより日々のT850JP時系列を再現した。再現されたT850JPから、極端な猛暑年においては、3テレコネクションパターンはT850JPの分散の半分程度を説明し、その寄与は同程度であることが分かった。統計モデルは、日々のT850JPの偏差だけでなく、7~8月平均T850JPの年々変動および長期変化傾向も再現できた。PJパターンはT850JPの年々変動に最も大きく寄与しており、これはPJパターンが他の2パターンに比べて長い時間スケールを持つことによるものと考えられる。再現されたT850JPには温暖化トレンドも見られ、CGT指数の上昇トレンドが寄与していることが分かった。このことは、地球温暖化による熱力学的効果とともに、循環場の変化による力学的効果が日本域における高温事象の長期的な増加を説明する一因であることを示唆する。 |
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ISSN: | 0026-1165 2186-9057 |
DOI: | 10.2151/jmsj.2022-025 |