症例 孤立性右室低形成に合併した心房中隔欠損の1成人治験例

極めてまれなチアノーゼ性先天性心疾患である孤立性右室低形成の症例で,37歳と比較的高齢で確診された1例を報告する.初診時血液ガス分析で著明な低酸素血症があり,経胸壁心エコー検査で心房中隔欠損を認めた.心臓カテーテル検査では心房レベルの右左優位のシャントを認めたが,右心系の圧は正常であった.右室造影にて右心腔の低形成を認める以外に心内腔,大血管の器質的異常を認めず,孤立性右室低形成と診断した.手術術式を決定するために術中にバルーンカテーテルを用いて心房中隔欠損孔の閉鎖試験を行い,動脈血酸素分圧の改善と,中心静脈圧の上昇がないことを確認した後,欠損孔のパッチ閉鎖術を施行した.術後循環虚脱もなく,血...

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Published in心臓 Vol. 30; no. 11; pp. 685 - 690
Main Authors 石井, 良直, 郷, 一知, 横田, 裕光, 西條, 泰明, 吉田, 亜由美, 川嶋, 栄司, 長谷部, 直幸, 菊池, 健次郎, 井門, 明, 斉藤, 晋, 太田, 久宣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1998
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.30.11_685

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Summary:極めてまれなチアノーゼ性先天性心疾患である孤立性右室低形成の症例で,37歳と比較的高齢で確診された1例を報告する.初診時血液ガス分析で著明な低酸素血症があり,経胸壁心エコー検査で心房中隔欠損を認めた.心臓カテーテル検査では心房レベルの右左優位のシャントを認めたが,右心系の圧は正常であった.右室造影にて右心腔の低形成を認める以外に心内腔,大血管の器質的異常を認めず,孤立性右室低形成と診断した.手術術式を決定するために術中にバルーンカテーテルを用いて心房中隔欠損孔の閉鎖試験を行い,動脈血酸素分圧の改善と,中心静脈圧の上昇がないことを確認した後,欠損孔のパッチ閉鎖術を施行した.術後循環虚脱もなく,血行動態は徐々に安定化したが,左心機能の低下,非持続性心室頻拍,換気応答の低下に基づく低酸素血症は残存し,慎重に経過観察中である.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.30.11_685