症例 特異な形態を呈する巨大仮性心室瘤を有した広範前壁梗塞の1例

心筋梗塞における合併症の中で左心室瘤は3.5-38.0%に発生すると言われており,早期診断による手術にて二次破裂の予防が可能となった.今回我々は65歳男性で広範前壁梗塞発症後約3週間の経過で心不全の出現をみる事なく仮性心室瘤を形成し手術により延命し得た症例を経験した.本症例における仮性心室瘤の形態は前壁側に限局しているにもかかわらず巨大心室瘤を成し,手術時心外膜,胸膜の癒着が著しいため剥離難で,左室瘤切除時の断面直径は約6cmで壁厚は2mmと菲薄著明であった.病理組織所見は心筋断裂を認め,周囲組織の著明な線維化を呈しており仮性心室瘤の診断である.本症例は手術後経過良好で現在外来通院中である.以...

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Published in心臓 Vol. 20; no. 9; pp. 1091 - 1095
Main Authors 五味渕, 大平, 高畑, 秀夫, 鈴木, 彰, 鈴木, 史雄, 五十嵐, 庫夫, 広坂, 朗, 高木, 雄行, 竹沢, 将俊, 城間, 賢二, 竹内, 靖夫, 須磨, 幸蔵, 小野, 和男, 大和田, 憲司, 刈米, 重夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1988
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Summary:心筋梗塞における合併症の中で左心室瘤は3.5-38.0%に発生すると言われており,早期診断による手術にて二次破裂の予防が可能となった.今回我々は65歳男性で広範前壁梗塞発症後約3週間の経過で心不全の出現をみる事なく仮性心室瘤を形成し手術により延命し得た症例を経験した.本症例における仮性心室瘤の形態は前壁側に限局しているにもかかわらず巨大心室瘤を成し,手術時心外膜,胸膜の癒着が著しいため剥離難で,左室瘤切除時の断面直径は約6cmで壁厚は2mmと菲薄著明であった.病理組織所見は心筋断裂を認め,周囲組織の著明な線維化を呈しており仮性心室瘤の診断である.本症例は手術後経過良好で現在外来通院中である.以上,広範前壁梗塞後約3週間で発生した巨大仮性心室瘤が心破裂を見ずに手術により延命し得た症例を経験したので報告した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.20.9_1091