症例 右単冠状動脈症に合併した僧帽弁狭窄症の1例

10年前に僧帽弁狭窄症にて直視下交連切開術を受けた40歳女性で,今回夜間の咳および呼吸困難の出現により入院となった.心臓カテーテル検査では肺動脈模入圧13mmHg,拡張期左房左室圧較差4mmHg,僧帽弁口面積1.83cm2と術後再狭窄の程度は強くなかったが,選択的冠状動脈造影にて右単冠状動脈症を認めた.右冠状動脈は太く発達し起始部から前下行枝と思われる枝を出し,さらに後房室間溝を通って左回旋枝領域まで太い血管を送っていた.分類上SmithのI型と考えられた.右冠状動脈症であること,前下行枝と思われる血管の発達が不良であることにより心筋虚血をきたす可能性が強いと考えられたが,運動負荷Tl-201...

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Published in心臓 Vol. 20; no. 9; pp. 1123 - 1127
Main Authors 後藤, 和夫, 泰江, 弘文, 奥村, 謙, 松山, 公士, 久木山, 清貴, 吉村, 道博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1988
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Summary:10年前に僧帽弁狭窄症にて直視下交連切開術を受けた40歳女性で,今回夜間の咳および呼吸困難の出現により入院となった.心臓カテーテル検査では肺動脈模入圧13mmHg,拡張期左房左室圧較差4mmHg,僧帽弁口面積1.83cm2と術後再狭窄の程度は強くなかったが,選択的冠状動脈造影にて右単冠状動脈症を認めた.右冠状動脈は太く発達し起始部から前下行枝と思われる枝を出し,さらに後房室間溝を通って左回旋枝領域まで太い血管を送っていた.分類上SmithのI型と考えられた.右冠状動脈症であること,前下行枝と思われる血管の発達が不良であることにより心筋虚血をきたす可能性が強いと考えられたが,運動負荷Tl-201SPECTの所見や右房ペーシング時の心電図変化はそれを支持していた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.20.9_1123