母指MP関節垂直位固定(Vertical Locking)の1例

母指MP関節垂直位固定の1例を経験したので報告する.症例は30歳男性.壁を殴って受傷し右母指が伸ばせなくなり,当院を受診した.右母指MP関節は90°屈曲位で固定され,自動伸展不能であった.単純X線写真では明らかな骨傷はなく,基節骨が掌側に亜脱臼していた.無麻酔下に牽引伸展させ,容易に整復可能であった.整復後は自動運動可能となり,不安定性は認めず,経過良好である.中手骨頭が平坦で,可動域が少ないことが発症リスクであるとされ,屈曲強制力が加わることで,基節骨が中手骨頭掌側隆起を乗り越え亜脱臼し,側副靱帯が緊張することがロッキングのメカニズムと考えられており,本症例も,中手骨頭が平坦な形状であり,M...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 72; no. 3; pp. 528 - 530
Main Authors 川嶌, 眞人, 本山, 達男, 半田, 和佳, 永芳, 郁文, 川嶌, 眞之, 太田, 克樹, 古江, 幸博, 後藤, 剛, 田村, 裕昭, 佐々木, 聡明, 渡邊, 裕介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2023
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.72.528

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Summary:母指MP関節垂直位固定の1例を経験したので報告する.症例は30歳男性.壁を殴って受傷し右母指が伸ばせなくなり,当院を受診した.右母指MP関節は90°屈曲位で固定され,自動伸展不能であった.単純X線写真では明らかな骨傷はなく,基節骨が掌側に亜脱臼していた.無麻酔下に牽引伸展させ,容易に整復可能であった.整復後は自動運動可能となり,不安定性は認めず,経過良好である.中手骨頭が平坦で,可動域が少ないことが発症リスクであるとされ,屈曲強制力が加わることで,基節骨が中手骨頭掌側隆起を乗り越え亜脱臼し,側副靱帯が緊張することがロッキングのメカニズムと考えられており,本症例も,中手骨頭が平坦な形状であり,MP関節可動域が狭く,同様の発生機序であると考察された.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.72.528