症例 新しい特定心筋疾患- aci dmaltase欠損を伴わないlysosomal glycogen storage diseaseの1例

新しい特定心筋疾患,acidmaltase欠損を伴わないlysosomal glycogen storage diseaseの1小児例を経験した. 症例は5歳5カ月の男児で,外傷のため近医を受診した際に偶然GOT,GPTの高値を指摘され当科を受診した.身体所見には特記すべき所見はなく,運動能力は年齢相当で骨格筋の筋力低下も認めなかった.GOT, GPT, LDH, CPK, Aldolase,αHBDは高値で,心電図ではV1, V2の二相性T波, V5, V6の異常Q波, V2からV6のST上昇, V4からV6のT波増高,V5, V6のR波増高を認めた.PQ間隔は正常であった.心エコーでは,心...

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Published in心臓 Vol. 21; no. 9; pp. 1110 - 1114
Main Authors 富田, 英, 舘, 延忠, 沢田, 陽子, 東舘, 義仁, 佐々木, 公男, 舘, 睦子, 亀田, 桂司, 若井, 周治, 南, 良二, 杉江, 秀夫, 鶴井, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1989
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Summary:新しい特定心筋疾患,acidmaltase欠損を伴わないlysosomal glycogen storage diseaseの1小児例を経験した. 症例は5歳5カ月の男児で,外傷のため近医を受診した際に偶然GOT,GPTの高値を指摘され当科を受診した.身体所見には特記すべき所見はなく,運動能力は年齢相当で骨格筋の筋力低下も認めなかった.GOT, GPT, LDH, CPK, Aldolase,αHBDは高値で,心電図ではV1, V2の二相性T波, V5, V6の異常Q波, V2からV6のST上昇, V4からV6のT波増高,V5, V6のR波増高を認めた.PQ間隔は正常であった.心エコーでは,心室中隔と後側壁の一部に肥厚を認めた.左室拡張末期圧は12mmHgと上昇し,心尖部にhypokinesisを認めた.右室心内膜心筋生検では,心筋細胞肥大,空胞変性,線維化,一部に筋細胞列の断裂などを認めた.左上腕二頭筋生検では1ysosomeへのglycogenの蓄積を認めたが,acid maltase活性には,異常を認めなかった. 骨格筋の筋力低下が軽度な本症では,特定心筋疾患による,心不全症状にて発症することが多い.このため全身性のmyopathyとしては見逃される可能性があり,注意が必要と考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.21.9_1110