線維性癒着を伴った非復位性関節円板前外方転位例に対し外科的療法を施行後円板復位した顎関節症の1例

症例は43歳女性,開口障害を主訴に来院。初診時最大開口距離24 mm。T1強調MR画像所見では両側顎関節症IIIb型(両側非復位性関節円板前外方転位によるクローズドロック),stuck diskを認めた。二重造影CT検査を行った結果,両側上関節腔に線維性癒着が認められたため,関節鏡支援下での両側顎関節開放剥離授動術を施行した。術後6か月の開口時T1強調MR画像所見では両側とも円板復位を認めた。円板復位した理由には術前の円板形態が関連しているものと考えられた。本症例は円板形態がfoldingに該当する。foldingは復位性の転位にもかかわらず,癒着による運動制限が生じる割合が高いようである。線...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 23; no. 1; pp. 19 - 23
Main Authors 岩崎, 春美, 覚道, 健治, 後藤, 基宏, 窪, 寛仁, 大西, 祐一, 森, 悠衣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 2011
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu.23.19

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Summary:症例は43歳女性,開口障害を主訴に来院。初診時最大開口距離24 mm。T1強調MR画像所見では両側顎関節症IIIb型(両側非復位性関節円板前外方転位によるクローズドロック),stuck diskを認めた。二重造影CT検査を行った結果,両側上関節腔に線維性癒着が認められたため,関節鏡支援下での両側顎関節開放剥離授動術を施行した。術後6か月の開口時T1強調MR画像所見では両側とも円板復位を認めた。円板復位した理由には術前の円板形態が関連しているものと考えられた。本症例は円板形態がfoldingに該当する。foldingは復位性の転位にもかかわらず,癒着による運動制限が生じる割合が高いようである。線維性癒着の除去,運動障害の解除,また開口訓練により,屈曲した円板が伸展され,その結果,開口距離を増加させることができたと考えられた。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu.23.19