症例 糖尿病治療中に肥大型心筋症様病態を呈したmitochondria遺伝子3243変異(MIDD)の1例

症例は46歳女性,16歳時糖尿病を指摘,IDDMとして加療中であった.35歳より難聴が出現,ミトコンドリア遺伝子を検索したところ3243変異を認めた.最近になり動悸,胸部不快感も出現し,心エコー上肥大型心筋症様のエコー所見も認めるため入院精査となる.高血圧歴,冠動脈正常で,心筋生検では光顕にて顆粒状変性を見,電顕にてミトコンドリアの増生と一部のミトコンドリアにクリスタの消失,グリコーゲン蓄積を認めた.家系調査では4世代にわたって同様の症例が存在し,症状は糖尿病,難聴,心疾患の順に出現していた.世代を経るに従い,糖尿病発症年齢が若年化しかつ重症となる傾向があり,心臓突然死例も存在した.MELAS...

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Published in心臓 Vol. 30; no. 11; pp. 691 - 697
Main Authors 蘇, 欣, 河野, 恒輔, 塚越, 正樹, 山本, 博昭, 関口, 守衛, 望月, 峻成, 甲田, 隆, 近藤, 照貴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1998
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.30.11_691

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Summary:症例は46歳女性,16歳時糖尿病を指摘,IDDMとして加療中であった.35歳より難聴が出現,ミトコンドリア遺伝子を検索したところ3243変異を認めた.最近になり動悸,胸部不快感も出現し,心エコー上肥大型心筋症様のエコー所見も認めるため入院精査となる.高血圧歴,冠動脈正常で,心筋生検では光顕にて顆粒状変性を見,電顕にてミトコンドリアの増生と一部のミトコンドリアにクリスタの消失,グリコーゲン蓄積を認めた.家系調査では4世代にわたって同様の症例が存在し,症状は糖尿病,難聴,心疾患の順に出現していた.世代を経るに従い,糖尿病発症年齢が若年化しかつ重症となる傾向があり,心臓突然死例も存在した.MELASとは遺伝子異常は同じだが病像は異なっていた.ミトコンドリア遺伝子異常(MIDD)に伴う心筋病変についての報告は少なく貴重と考え報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.30.11_691