臨床 川崎病に伴う心筋梗塞診断における各種検査法の比較検討

冠動脈高度狭窄性病変を有する川崎病患児10例を対象に,標準12誘導心電図(心電図),左室造影法(左室造影),タリウム心筋イメージング(心筋シンチ),断層心エコー法(2DE)を用いて本症に伴う心筋梗塞診断に関する方法的検討を加えた.10例の90%以上の狭窄度を有する冠動脈障害枝は計15本で,その支配領域と想定される部位に一致して各検査の異常が認められた場合を陽性とした.心電図は有意のQの有無につき検討した.左室造影は2方向像を8分割し,各分割ごとの面積短縮率を求め正常値と比較して定量的に評価した.心筋シンチは負荷を併用してplanar像のほかにSPECT像を用いて評価した.2DEは僧帽弁先端部お...

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Published in心臓 Vol. 18; no. 9; pp. 1060 - 1066
Main Authors 近藤, 千里, 里見, 元義, 廣江, 道昭, 高尾, 篤良, 中西, 敏雄, 松本, 康俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1986
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.18.9_1060

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Summary:冠動脈高度狭窄性病変を有する川崎病患児10例を対象に,標準12誘導心電図(心電図),左室造影法(左室造影),タリウム心筋イメージング(心筋シンチ),断層心エコー法(2DE)を用いて本症に伴う心筋梗塞診断に関する方法的検討を加えた.10例の90%以上の狭窄度を有する冠動脈障害枝は計15本で,その支配領域と想定される部位に一致して各検査の異常が認められた場合を陽性とした.心電図は有意のQの有無につき検討した.左室造影は2方向像を8分割し,各分割ごとの面積短縮率を求め正常値と比較して定量的に評価した.心筋シンチは負荷を併用してplanar像のほかにSPECT像を用いて評価した.2DEは僧帽弁先端部および乳頭筋の高さにおける左室短軸断面像をそれぞれ8分割し,各分割ごとの収縮率を求め定量的に判定した.結果は心電図の検出率は60%で高くはなかった.左室造影は73%で検出率は比較的高かった.心筋シンチはSPECTを用いると87%と優れていたplanarでは60%と検出率は低下した.2DEは定量法では60%であったが,視覚的判定法では33%であった.以上より本症の梗塞診断には心電図や2DEからの判定に比し,冠動脈造影法とともに左室造影と心筋シンチ(とくにSPECT)の併用がより確実であると結論された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.18.9_1060