γ線照射により誘発されたダイズβ-コンクリシニンαサブユニット欠失性の遺伝解析
ダイズ子実の貯蔵タンパク質は約70%がβ-コンクリシニンとグリシニンで占められ,ダイズタンパク質の機能特性に重要な役割を果たしている.すなわち,β-コンクリシニンとグリシニンの主要な2成分を比較した場合,メチオニンやシステインなどの含硫アミノ酸の含有量が大きく異なっており,含硫アミノ酸はβ-コンクリシニンにはほとんど含まれないのに対し,グリシニンには比較的多く含まれ,このため,豆腐様ゲルやフィルム状または繊維状製品の加工にはグリシニンの方が良く,また,栄養価も高い.そこで,グリシニン生成量を増大させるために,β-コンクリシニンのサブユニットを遺伝的に削除することを試みだところ,前報で報告したよ...
Saved in:
Published in | 育種学雑誌 Vol. 46; no. 3; pp. 251 - 255 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
日本育種学会
1996
|
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | ダイズ子実の貯蔵タンパク質は約70%がβ-コンクリシニンとグリシニンで占められ,ダイズタンパク質の機能特性に重要な役割を果たしている.すなわち,β-コンクリシニンとグリシニンの主要な2成分を比較した場合,メチオニンやシステインなどの含硫アミノ酸の含有量が大きく異なっており,含硫アミノ酸はβ-コンクリシニンにはほとんど含まれないのに対し,グリシニンには比較的多く含まれ,このため,豆腐様ゲルやフィルム状または繊維状製品の加工にはグリシニンの方が良く,また,栄養価も高い.そこで,グリシニン生成量を増大させるために,β-コンクリシニンのサブユニットを遺伝的に削除することを試みだところ,前報で報告したように,β一コンクリシニンの生成量が著しく低下したα及びα'サブユニット欠失変異ダイズ(以後,丁系統)を作出することに成功した. 本報告では,丁系統におけるαサブユニットの欠失性の遺伝様式及びαサブユニットと♂サブユニット及びグリシニンのA4サブユニットとの遺伝関係を解析した.つまり,丁系統とαサブユニットを保有するダイズ系統との交配から得られたF1及びF2種子をSDS電気泳動法により分析し,α,♂及びA4サブユニットの有無を調査した.カイ2乗検定により観測値と期待値の適合度をみたところ,αサブユニットの欠失型は保有型に対して劣性を示す1遺伝子によって支配され,α'及びA。サブユニットの有無とは独立遺伝することが明らかになった.正逆交雑の結果からはαサブユニットの欠失性は細胞質因子による影響がないことを確認した.また,cgy2をαサブユニットの欠失性を制御する遺伝子座の遺伝子記号とした. |
---|---|
ISSN: | 0536-3683 2185-291X |
DOI: | 10.1270/jsbbs1951.46.251 |