造血器疾患に併発した重症感染症に対するGV-523と抗生剤療法の検討 Cross over法による比較試験
造血器疾患に併発した重症感染症に対する乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン製剤GV-523と抗生剤との併用効果を, 同種の人免疫グロブリン製剤であるヴェノグロブリン-I (V-I) を対照としてCross over法によって比較し, 以下の成績を得た. 1. 総治験症例数は76例であったが, そのうち, 同一患者による両薬剤の優劣比較を行い得た症例は46例であった. また, GV-523およびV-Iが先行剤あるいは後続剤として投与され, それぞれ投与時の有効性が判定された症例はGV-523, V-Iともに55症例であった. 2. 同一患者による両薬剤の優劣を比較し得た46症例中, G...
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 59; no. 11; pp. 1041 - 1055 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
01.11.1985
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ISSN | 0387-5911 1884-569X |
DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.59.1041 |
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Summary: | 造血器疾患に併発した重症感染症に対する乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン製剤GV-523と抗生剤との併用効果を, 同種の人免疫グロブリン製剤であるヴェノグロブリン-I (V-I) を対照としてCross over法によって比較し, 以下の成績を得た. 1. 総治験症例数は76例であったが, そのうち, 同一患者による両薬剤の優劣比較を行い得た症例は46例であった. また, GV-523およびV-Iが先行剤あるいは後続剤として投与され, それぞれ投与時の有効性が判定された症例はGV-523, V-Iともに55症例であった. 2. 同一患者による両薬剤の優劣を比較し得た46症例中, GV-523が優れたもの12例, V-Iが優れたもの9例, 同等と判定されたもの25例であり, 両薬剤の効果はほぼ同等であった. 3. 臨床的効果判定において, GV-523投与症例55例中22例 (40.0%) に, V-I投与症例55例中14例 (25.5%) に「有効」以上の効果が認められ,「やや有効」を含めた有効率は, GV-523投与症例では50.9%, V-I投与症例では40.0%であり, いずれも両薬剤の有効率の間には有意の差は認められなかった. 4. 同一患者による両薬剤の優劣を比較し得た46症例において, GV-523を先行剤あるいは後続剤とした場合の有効率 (「有効」以上) はそれぞれ16.7%および50.0%, V-Iを先行剤あるいは後続剤とした場合の有効率はそれぞれ9.1%および25.0%であり, 両薬剤ともに後続剤の有効率は先行剤の有効率よりも高く, GV-523では先行剤として投与した場合と後続剤として投与した場合の有効率の間に有意の差が認められた. 5. 副作用を総治験症例76例について検討したが, 両薬剤ともにこれに由来するものと判断され, 重症感染症に対して, 抗生剤と併用して有用な静注用人免疫グロブリン製剤であると考えられる. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.59.1041 |