北九州市立5病院における肺炎球菌の検出状況 PCGとキノロン系抗菌剤の感受性分布
肺炎球菌検出の精度向上を目的として北九州市立5病院の検査科の協力のもと, 1994年10月より1995年7月までの10ヵ月間に臨床検体より分離された200株の肺炎球菌を対象とし, 疫学的, 細菌学的, 臨床的検討を加えた. PCG, NFLX, CPFX, FLRX, LFLX, TFLX, SPFX, LVFXのMICをマイクロプレートを用いた微量液体希釈法により測定した. PCGに対する感受性はPSSP48.0%, PISP39.5%, PRSP12.5%であり, MPIPCのディスク感受性試験による判定は, PSSPの10.5%を耐性と判定する危険性が示唆された. 肺炎球菌の89.0%は...
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 73; no. 11; pp. 1116 - 1122 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
20.11.1999
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ISSN | 0387-5911 1884-569X |
DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.73.1116 |
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Summary: | 肺炎球菌検出の精度向上を目的として北九州市立5病院の検査科の協力のもと, 1994年10月より1995年7月までの10ヵ月間に臨床検体より分離された200株の肺炎球菌を対象とし, 疫学的, 細菌学的, 臨床的検討を加えた. PCG, NFLX, CPFX, FLRX, LFLX, TFLX, SPFX, LVFXのMICをマイクロプレートを用いた微量液体希釈法により測定した. PCGに対する感受性はPSSP48.0%, PISP39.5%, PRSP12.5%であり, MPIPCのディスク感受性試験による判定は, PSSPの10.5%を耐性と判定する危険性が示唆された. 肺炎球菌の89.0%は気道系より検出され, その年齢分布は2峰性を示し, 0歳より3歳に全体の40.5%, 50歳以上に39.5%が検出された. 前者でPCG非感受性株の比率が高かった. キノロン系7薬剤の肺炎球菌に対するMIC90の分布はFLRX, LFLXの2剤が16μg/ml, NFLXは8μ9/mlと高値を示し, SPFXは0.5μ9/ml, TFLXは0.25μ9/mlと良好な感受性を有し, CPFX, LVFXの2剤は2μg/mlと両者の中間に位置していた. NCCLSの基準を参考にすると, TFLX, SPFX, LVFXの3薬剤は98%, またはそれ以上の感受性率であった. キノロン耐性肺炎球菌が検出された4症例を検討したが, うち3例でキノロン投与歴があり, 本剤は容易に耐性化する可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.73.1116 |