エコー下生検にて診断し得た線毛性前腸性肝嚢胞の1例

線毛性前腸性肝嚢胞ciliated hepatic foregut cyst(CHFC)は胎児期前腸の遺残に由来する嚢胞で,肝内側区域被膜直下に好発する.画像所見は様々で,乏血性充実性腫瘍や嚢胞性悪性腫瘍,あるいは高度の壊死を来たした肝細胞癌との鑑別が困難であるものも存在する.海外では3件の扁平上皮癌の発生が報告されているが,本邦においては現在までに悪性化例の報告はない.今回我々は健康診断で発見され,エコー下生検によって確定診断がついた症例を経験した.一般的にCHFCは良性疾患であり,典型例では定期的な経過観察でよいと思われるが,本症例においては病変の増大傾向を認めたため悪性化を懸念して腹腔鏡...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in肝臓 Vol. 47; no. 12; pp. 566 - 573
Main Authors 稲見, 真木子, 松岡, 俊一, 大城, 周, 林, 順平, 石上, 晃庸, 藤川, 博敏, 宮川, 正秀, 川崎, 篤史, 荒牧, 修, 三松, 謙司, 久保井, 洋一, 大井田, 尚継
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2006
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:線毛性前腸性肝嚢胞ciliated hepatic foregut cyst(CHFC)は胎児期前腸の遺残に由来する嚢胞で,肝内側区域被膜直下に好発する.画像所見は様々で,乏血性充実性腫瘍や嚢胞性悪性腫瘍,あるいは高度の壊死を来たした肝細胞癌との鑑別が困難であるものも存在する.海外では3件の扁平上皮癌の発生が報告されているが,本邦においては現在までに悪性化例の報告はない.今回我々は健康診断で発見され,エコー下生検によって確定診断がついた症例を経験した.一般的にCHFCは良性疾患であり,典型例では定期的な経過観察でよいと思われるが,本症例においては病変の増大傾向を認めたため悪性化を懸念して腹腔鏡補助下嚢胞核出術を行った.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.47.566