胃癌細胞における sialyl Lewis 抗原発現の臨床的意義 フローサイトメトリー法による検討

胃癌細胞におけるsialyl Lewis抗原の発現性を,肝転移の有無との関連性および予後因子としての意義について検討した.進行胃癌25例(肝転移9例,非肝転移16例)を対象とし,胃癌細胞と正常細胞各々約1-3万個のsLeaおよびsLexの発現率・発現量をモノクローナル抗体CA19-9,KM-93を用いフローサイトメトリーにより測定した.1)胃癌細胞のsLea,sLexの発現率・発現量は正常細胞と比較し有意(p<0.05)に高値であった.2)肝転移群胃癌細胞のsLea発現事・発現量は非肝転移群と比較し有意(p<0.01)に高値であり,胃癌細胞のsLea発現率・発現量と肝転移の有無との間に有意(p...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 2; pp. 332 - 340
Main Authors 片柳, 創, 小柳, 泰久, 葦沢, 龍人, 勝又, 健次, 岡田, 佳平, 青木, 達哉, 鈴木, 敬二, 鈴木, 和信, 寿美, 哲生, 山本, 啓一郎, 山崎, 達之, 長手, 基義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2001
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.2_332

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Summary:胃癌細胞におけるsialyl Lewis抗原の発現性を,肝転移の有無との関連性および予後因子としての意義について検討した.進行胃癌25例(肝転移9例,非肝転移16例)を対象とし,胃癌細胞と正常細胞各々約1-3万個のsLeaおよびsLexの発現率・発現量をモノクローナル抗体CA19-9,KM-93を用いフローサイトメトリーにより測定した.1)胃癌細胞のsLea,sLexの発現率・発現量は正常細胞と比較し有意(p<0.05)に高値であった.2)肝転移群胃癌細胞のsLea発現事・発現量は非肝転移群と比較し有意(p<0.01)に高値であり,胃癌細胞のsLea発現率・発現量と肝転移の有無との間に有意(p<記号0.01)な関連を認めた.3)sLeaの発現率は予後に対し有意(p<0.05)な影響を及ぼし,多変量解析より病理組織学的予後因子(pT,pN)と比較して優位な成績であった.以上より,フローサイトメトリー法によるsLeaの発現率は,胃癌の悪性度指標としての有用性が示唆された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.2_332