吐血を主訴に発見された右胃動脈瘤破裂の1切除例
症例は80歳の男性で,吐血を主訴に当院を紹介受診した.造影CTでは右胃動脈に約1 cm大の動脈瘤を複数個認め,その周囲に約6 cm大の血腫を認めた.前医の内視鏡画像では,胃内に凝血塊を多量に認め,胃前庭部小彎に粘膜下腫瘍様の隆起を認めた.以上の結果から,右胃動脈瘤が破裂して吐血を来したと考えられた.一時的に止血が得られており,全身状態は安定していたが,再出血のリスクが高いと判断して転院翌日に開腹手術を施行した.開腹所見では,小彎後壁に約6 cm大の暗赤色の腫瘤を認め,触診では動脈性の拍動をわずかに触れた.右胃動脈沿いに動脈瘤を2個認めた.右胃動脈瘤を含めた幽門側胃切除術とBillroth-I法...
Saved in:
Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 58; no. 5; pp. 267 - 275 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.05.2025
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 症例は80歳の男性で,吐血を主訴に当院を紹介受診した.造影CTでは右胃動脈に約1 cm大の動脈瘤を複数個認め,その周囲に約6 cm大の血腫を認めた.前医の内視鏡画像では,胃内に凝血塊を多量に認め,胃前庭部小彎に粘膜下腫瘍様の隆起を認めた.以上の結果から,右胃動脈瘤が破裂して吐血を来したと考えられた.一時的に止血が得られており,全身状態は安定していたが,再出血のリスクが高いと判断して転院翌日に開腹手術を施行した.開腹所見では,小彎後壁に約6 cm大の暗赤色の腫瘤を認め,触診では動脈性の拍動をわずかに触れた.右胃動脈沿いに動脈瘤を2個認めた.右胃動脈瘤を含めた幽門側胃切除術とBillroth-I法再建術を施行した.動脈瘤形成の原因として,中膜平滑筋細胞の空胞変性はなく,segmental arterial mediolysisを示唆する所見は得られなかった.動脈硬化が原因と考えた.今回,比較的まれな右胃動脈瘤破裂に対して幽門側胃切除術を行い,救命した症例を経験したため報告する. |
---|---|
ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2024.0013 |