臨床 急性大動脈解離の急性期治療に関する臨床的検討

急性大動脈解離24例(男15例,女9例,41~81歳)を内科的治療を主体とする治療方針で診療し,重篤な合併症があるか切迫破裂または降圧療法が困難な時のみ外科的治療を考慮した.これら症例の造影X線CT所見と治療成績から,いかなる例が内科的治療継続可能かを検討した.造影X線CTで偽腔が造影された偽腔造影型は11例で,Stanford A型6例全例とB型5例中2例が外科的治療の適応と判断された.A型3例を失い(1例は動脈瘤破裂),救命率はA型50%,B型100%であった.偽腔が造影されなかった偽腔非造影型は13例(A型7例,B型6例)で,全例急性期は内科的治療で救命し,救命率はA型,B型ともに100...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 25; no. 2; pp. 153 - 159
Main Authors 友渕, 佳明, 松谷, 良清, 大鹿, 裕之, 田中, 陽一, 伊良波, 浩, 吉山, 毅, 小野, 知美, 佐藤, 顕治, 後藤, 融平, 広岡, 紀之, 篠崎, 正博, 星屋, 博信, 上野, 雄二, 西尾, 一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1993
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:急性大動脈解離24例(男15例,女9例,41~81歳)を内科的治療を主体とする治療方針で診療し,重篤な合併症があるか切迫破裂または降圧療法が困難な時のみ外科的治療を考慮した.これら症例の造影X線CT所見と治療成績から,いかなる例が内科的治療継続可能かを検討した.造影X線CTで偽腔が造影された偽腔造影型は11例で,Stanford A型6例全例とB型5例中2例が外科的治療の適応と判断された.A型3例を失い(1例は動脈瘤破裂),救命率はA型50%,B型100%であった.偽腔が造影されなかった偽腔非造影型は13例(A型7例,B型6例)で,全例急性期は内科的治療で救命し,救命率はA型,B型ともに100%であった.このことから,Stanford A型でも偽腔非造影例では,重篤な合併症がなければ急性期は内科的治療を選択してもよいと考えられた.しかし,急性期内科的治療を行ったStanford A型で慢性期に外科的治療を要する例が7例中3例あったことから,慢性期も厳重な管理が必要であると考えられた.X線CTでの胸腔内体液貯留は第1病日では17例中4例のみであったが,第2病日以降X線CTを施行した17例,24件全例に認められた.この17例のうち急性期に切迫破裂により外科的治療を行ったのは2例のみであり,第2病日以後の胸腔内体液貯留だけでは手術適応理由とならないと考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.25.2_153