小児のIIIb型外傷性膵単独損傷に対する非手術療法の3例

外傷性膵損傷に対する外科治療の術後合併症率が高く,近年,非手術療法(non-operative management;以下,NOMと略記)による治癒例が報告される.一方で,小児における膵外傷に対するNOMの知見は少なく,最適な治療法は確立されていない.我々は小児のIIIb型外傷性膵単独損傷3例を経験したため,考察を加え報告する.全ての症例で,緊急内視鏡的膵管造影(endoscopic retrograde pancreatography;以下,ERPと略記)による主膵管損傷の評価に基づきIIIb型と診断された.3例のうち,受傷当日に緊急ERPを実施した1例では損傷膵管にステント留置が可能であっ...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 57; no. 8; pp. 390 - 400
Main Authors 菅原, 良太, 佐藤, 直哉, 月田, 茂之, 武藤, 亮, 芳賀, 淳一郎, 小船戸, 康英, 石亀, 輝英, 木村, 隆, 見城, 明, 丸橋, 繁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.08.2024
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Summary:外傷性膵損傷に対する外科治療の術後合併症率が高く,近年,非手術療法(non-operative management;以下,NOMと略記)による治癒例が報告される.一方で,小児における膵外傷に対するNOMの知見は少なく,最適な治療法は確立されていない.我々は小児のIIIb型外傷性膵単独損傷3例を経験したため,考察を加え報告する.全ての症例で,緊急内視鏡的膵管造影(endoscopic retrograde pancreatography;以下,ERPと略記)による主膵管損傷の評価に基づきIIIb型と診断された.3例のうち,受傷当日に緊急ERPを実施した1例では損傷膵管にステント留置が可能であったが,受傷後2日以降で実施した2例ではステント留置不能であった.全例でNOMを実施したが,治癒は主膵管ステント留置が可能であった1例のみであった.ステント留置不能2例は広範な膵液の漏出を来したため,NOMを中断して膵切除術または外科的ドレナージ術が実施された.小児例のIIIb型の膵単独損傷症例では,ERPによる主膵管損傷の早期診断と膵管ステント留置がNOM達成に重要であると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2023.0034