症例 左室心尖部に正常壁運動を認めたたこつぼ型心筋障害の1例

症例は52歳,女性.激しい驚愕の後に持続する胸痛が出現し来院.心電図にてI,aVL,V2~V5誘導でST上昇を認めた.緊急冠動脈造影で冠動脈に有意狭窄はなく,左室造影で前壁の中部に無収縮,下壁に高度収縮低下を認めたが,心尖部には正常な収縮が認められた.第5病日に施行した123I-MIBG心筋シンチでは前壁に高度の集積低下,下後壁に中等度の集積低下を認めたが,心尖部の集積低下は認めなかった.心電図は入院3日目で既にST-T変化は回復傾向となり,左室壁運動異常は心エコー上,入院1週間後には正常化していた.経過からたこつぼ型心筋障害と考えられたが,左室心尖部に正常な壁運動が認められたことが従来の報告...

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Published in心臓 Vol. 36; no. 6; pp. 461 - 465
Main Authors 山田, 道治, 清水, 智雄, 松井, 義親, 柴田, 哲男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2004
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Summary:症例は52歳,女性.激しい驚愕の後に持続する胸痛が出現し来院.心電図にてI,aVL,V2~V5誘導でST上昇を認めた.緊急冠動脈造影で冠動脈に有意狭窄はなく,左室造影で前壁の中部に無収縮,下壁に高度収縮低下を認めたが,心尖部には正常な収縮が認められた.第5病日に施行した123I-MIBG心筋シンチでは前壁に高度の集積低下,下後壁に中等度の集積低下を認めたが,心尖部の集積低下は認めなかった.心電図は入院3日目で既にST-T変化は回復傾向となり,左室壁運動異常は心エコー上,入院1週間後には正常化していた.経過からたこつぼ型心筋障害と考えられたが,左室心尖部に正常な壁運動が認められたことが従来の報告と異なり興味ある病態であった.たこつぼ型心筋障害の左室造影像にはたこつぼ型以外に多様性があると考えられ,報告した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.36.6_461