重症心身障害者の大腸癌に対する3例の手術経験

症例1は44歳の女性で,レット症候群,慢性呼吸不全で人工呼吸器下であった.便潜血の精査で上行結腸癌を指摘され,腹腔鏡下結腸右半切除術を施行した.術後経過は良好で術後7日目に施設転院となった.症例2は61歳の男性で,脳性麻痺,てんかんがあり,便潜血の精査で横行結腸癌を指摘された.腹腔鏡下横行結腸切除術・胃瘻造設術を施行し,術後に尿路感染症を認めたが術後8日目に施設転院となった.症例3は47歳の女性で,染色体異常,てんかんがあり,下血の精査でS状結腸癌を指摘された.腹腔鏡下ハルトマン術を施行し,術後に麻痺性イレウス,てんかん発作,肺炎を認め術後30日目に施設転院となった.重症心身障害者に対する便潜...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 58; no. 5; pp. 295 - 303
Main Authors 江端, 由穂, 中西, 良太, 川副, 徹郎, 工藤, 健介, 財津, 瑛子, 中島, 雄一郎, 安藤, 幸滋, 沖, 英次, 石神, 康生, 相島, 慎一, 吉住, 朋晴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.05.2025
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Summary:症例1は44歳の女性で,レット症候群,慢性呼吸不全で人工呼吸器下であった.便潜血の精査で上行結腸癌を指摘され,腹腔鏡下結腸右半切除術を施行した.術後経過は良好で術後7日目に施設転院となった.症例2は61歳の男性で,脳性麻痺,てんかんがあり,便潜血の精査で横行結腸癌を指摘された.腹腔鏡下横行結腸切除術・胃瘻造設術を施行し,術後に尿路感染症を認めたが術後8日目に施設転院となった.症例3は47歳の女性で,染色体異常,てんかんがあり,下血の精査でS状結腸癌を指摘された.腹腔鏡下ハルトマン術を施行し,術後に麻痺性イレウス,てんかん発作,肺炎を認め術後30日目に施設転院となった.重症心身障害者に対する便潜血検査の普及に伴い,根治切除可能な大腸癌と診断された症例を経験した.重症心身障害のある症例では環境の変化で容易に重度の合併症を併発することが多く,周術期管理においては施設との連携が極めて重要である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2024.0065