HEART's Original [症例] 多彩な不整脈を伴う心室瘤に対する5年間の管理中に肢帯型筋ジストロフィと診断された1例

症例は55歳,女性.2001年春の健康診断で心電図異常を指摘された.心エコー検査にて左室下後壁に心室瘤を認めることから,虚血性心疾患を疑い2001年7月冠動脈造影を施行.左,右冠動脈に有意狭窄はなく,左室造影では下後壁に心室瘤を認め,同時に施行した,電気生理学的検査では部分的心房静止を認めたが心室頻拍・心室細動は誘発されなかった.原因不明の心筋症と考え,外来にて経過観察中の2002年1月意識消失発作が出現し入院,心室性頻拍を認めた.再度の電気生理学的検査にても,心室頻拍・心室細動は誘発されなかった.血清CPKは300~600IU/L(MM優位)と高値が持続しており2004年ころより階段の上り,...

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Published in心臓 Vol. 40; no. 5; pp. 473 - 477
Main Authors 井上, 康憲, 安澤, 龍宏, 寺尾, 吉生, 鶴崎, 哲士, 松山, 明正, 久能, 守, 今本, 諭, 笠井, 督雄, 佐藤, 周, 栗田, 正, 関, 晋吾, 望月, 正武
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2008
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Summary:症例は55歳,女性.2001年春の健康診断で心電図異常を指摘された.心エコー検査にて左室下後壁に心室瘤を認めることから,虚血性心疾患を疑い2001年7月冠動脈造影を施行.左,右冠動脈に有意狭窄はなく,左室造影では下後壁に心室瘤を認め,同時に施行した,電気生理学的検査では部分的心房静止を認めたが心室頻拍・心室細動は誘発されなかった.原因不明の心筋症と考え,外来にて経過観察中の2002年1月意識消失発作が出現し入院,心室性頻拍を認めた.再度の電気生理学的検査にても,心室頻拍・心室細動は誘発されなかった.血清CPKは300~600IU/L(MM優位)と高値が持続しており2004年ころより階段の上り,長距離歩行が徐々に困難になった.筋疾患を疑い2006年6月神経内科に入院,肢帯型筋ジストロフィと診断された.骨格筋,心筋および刺激伝導系の障害はそれぞれ並行して進行するとは限らず,心筋症・刺激伝導系の障害を認める症例に対しては神経筋疾患に合併する2次性心筋症も考慮することが必要であると考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.40.5_473