アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法後に粒子線治療および肝切除を施行しcancer freeを達成しえた高度門脈腫瘍栓合併肝細胞癌の1例

症例は74歳の男性で,切除不能単発肝細胞癌(肝前区域を主座とし門脈本幹まで門脈腫瘍栓進展を伴う)に対して,アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法(以下,Atz+Bevと略記)を導入した.腫瘍マーカー低下および軽度腫瘍縮小を認めたが,7コース施行後に腫瘍マーカーの上昇を認めたため,局所制御目的に粒子線治療を施行した.照射後,原発巣は局所制御良好で再発なく経過していたが,粒子線治療約8か月後に照射野外の肝S4に単発肝内再発を認め,腹腔鏡下肝部分切除術を施行した.術後合併症は認めず,術後8か月(Atz+Bev導入後21か月)現在,再発なく無治療にて外来経過観察中である.近年,切除不能進行肝細胞癌に対し...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 58; no. 5; pp. 286 - 294
Main Authors 大森, 將貴, 小松, 昇平, 石原, 伸朗, 寺嶋, 千貴, 木戸, 正浩, 権, 英寿, 福島, 健司, 浦出, 剛史, 沖本, 智昭, 福本, 巧
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.05.2025
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Summary:症例は74歳の男性で,切除不能単発肝細胞癌(肝前区域を主座とし門脈本幹まで門脈腫瘍栓進展を伴う)に対して,アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法(以下,Atz+Bevと略記)を導入した.腫瘍マーカー低下および軽度腫瘍縮小を認めたが,7コース施行後に腫瘍マーカーの上昇を認めたため,局所制御目的に粒子線治療を施行した.照射後,原発巣は局所制御良好で再発なく経過していたが,粒子線治療約8か月後に照射野外の肝S4に単発肝内再発を認め,腹腔鏡下肝部分切除術を施行した.術後合併症は認めず,術後8か月(Atz+Bev導入後21か月)現在,再発なく無治療にて外来経過観察中である.近年,切除不能進行肝細胞癌に対して,Atz+Bev後の逐次的局所治療の有効性に関する報告を多数認める.Atz+Bev後の高度脈管侵襲陽性肝細胞癌に対する逐次的局所治療として粒子線治療も有効な選択肢となりうる可能性が示唆された.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2024.0073