HEART's Original [症例] 心筋梗塞を合併した本態性血小板血症の2症例

本態性血小板血症(ET)が原因と考えられる心筋梗塞2症例を経験した. 症例1は44歳, 女性. 42歳時より血小板数101万/μLと高値を指摘されていた. 1996年10月胸痛にて来院. 来院時血小板数77万/μLと高く,心電図でII,III,aVF誘導にST上昇が認められた.冠動脈造影では右冠動脈近位部に80%の血栓性狭窄を認め,冠動脈内血栓溶解療法を施行し,55%に改善.その後アスピリンとシロスタゾール投与を行い3カ月後には右冠動脈内の血栓性狭窄は完全に消失した. 症例2は69歳,女性.2003年6月より労作時胸痛が出現し,7月に受診.来院時血小板数62万/μLと高値.心電図でII,III...

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Published in心臓 Vol. 37; no. 4; pp. 309 - 314
Main Authors 小島, 時昭, 和泉, 徹, 濱田, 紗栄, 根本, 正則, 川口, 竹男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2005
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.37.4_309

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Summary:本態性血小板血症(ET)が原因と考えられる心筋梗塞2症例を経験した. 症例1は44歳, 女性. 42歳時より血小板数101万/μLと高値を指摘されていた. 1996年10月胸痛にて来院. 来院時血小板数77万/μLと高く,心電図でII,III,aVF誘導にST上昇が認められた.冠動脈造影では右冠動脈近位部に80%の血栓性狭窄を認め,冠動脈内血栓溶解療法を施行し,55%に改善.その後アスピリンとシロスタゾール投与を行い3カ月後には右冠動脈内の血栓性狭窄は完全に消失した. 症例2は69歳,女性.2003年6月より労作時胸痛が出現し,7月に受診.来院時血小板数62万/μLと高値.心電図でII,III,aVF誘導にQ波,II,III,aVF,V4~6誘導で陰性T波を認め,下壁心筋梗塞および梗塞後狭心症の診断で心臓カテーテル検査を施行した.右冠動脈は中間部より完全閉塞しており,チクロピジン投与を行い,1週後に経皮的冠動脈形成術(PCI)目的で再検査を行ったところ,右冠動脈中間部は高度の血栓性狭窄を残し再疎通していた.同部に対し単純旧式バルーン血管形成術(POBA)施行後,冠動脈内血栓溶解療法を追加して30%狭窄まで改善した.以後ワルファリンを投与し,1カ月後には血栓性狭窄は完全消失していた. 2症例とも著明な血小板増加があり,骨髄像は巨核球を主体とする腫瘍性増殖所見が示された.ともにETの診断基準を満たしており,ETに伴う心筋梗塞と診断した.ETの心筋梗塞合併症はまれであり,2例とも血栓の完全消失が得られたことから抗血栓療法が有効と判断された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.37.4_309