臨床 脳血管障害急性期の心電図異常と左室局所壁運動異常の検討

脳血管障害急性期患者40例に心電図,断層心エコー検査を施行し,臨床所見,心電図異常,左室壁運動異常について検討した.脳血管障害患者40例中34例(85%)に何らかの心電図異常が認められ,18例(45%)に脳血管障害発症に際して特徴的と考えられる陰性T波,ST変化および修正QT時間(QTc)延長のすべて,あるいはそのいずれかを認めた.これらの特徴的な心電図変化を示した18例では,その他の22例に比し,心拍数は有意に高値であり(P<0.01),入院時に高度意識障害であった例が有意に多く(p<0.01),慢性期意識清明であった例は有意に少なかった(p<0.01).断層心エコー図上左...

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Published in心臓 Vol. 25; no. 4; pp. 406 - 414
Main Authors 清水, 渉, 梶山, 梧朗, 唐川, 真二, 黒川, 純一, 山根, 哲弥, 本藤, 達也, 松浦, 秀夫, 岡本, 光師, 重本, 英司, 土岡, 由紀子, 山形, 東吾, 荒木, 攻
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1993
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.25.4_406

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Summary:脳血管障害急性期患者40例に心電図,断層心エコー検査を施行し,臨床所見,心電図異常,左室壁運動異常について検討した.脳血管障害患者40例中34例(85%)に何らかの心電図異常が認められ,18例(45%)に脳血管障害発症に際して特徴的と考えられる陰性T波,ST変化および修正QT時間(QTc)延長のすべて,あるいはそのいずれかを認めた.これらの特徴的な心電図変化を示した18例では,その他の22例に比し,心拍数は有意に高値であり(P<0.01),入院時に高度意識障害であった例が有意に多く(p<0.01),慢性期意識清明であった例は有意に少なかった(p<0.01).断層心エコー図上左室局所壁運動異常を呈した症例は5例(13%)で,全例にQTc延長,および陰性T波を認めた. 脳血管障害重症例急性期に著明な心電図異常を伴って左室局所壁運動異常を呈する例が少なからず存在し,臨床上注意が必要と考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.25.4_406