症例 運動誘発性冠攣縮性狭心症を合併した左単冠動脈症の1例

症例は63歳,男性.朝方の労作時胸痛を主訴に当科に入院した.入院後の胸痛出現時の心電図では,I,II,aVL,V3~V6にST低下とV2~V5に陰性U波を認めた.トレッドミル運動負荷試験では,ST低下度,胸痛出現までの運動時間に日内変動および日差変動を認め,冠攣縮の関与が示唆された.大動脈造影では,右冠動脈の入口部は不明であり,冠動脈造影では,左冠動脈回旋枝が末梢より本来の右冠動脈領域まで灌流していた.また,左前下行枝近位部に50%狭窄を認めたが,運動負荷にて同部は99%狭窄となり,自然発作時と同様の心電図変化を伴った.以上よりSmith Type Iの左単冠動脈症に運動誘発性冠攣縮性狭心症を...

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Published in心臓 Vol. 26; no. 4; pp. 403 - 407
Main Authors 石井, 良直, 本田, 肇, 山下, 裕久, 今本, 哲郎, 川嶋, 栄司, 羽根田, 俊, 長谷部, 直幸, 川村, 祐一郎, 飛世, 克之, 小野寺, 壮吉, 早川, 拓治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1994
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.26.4_403

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Summary:症例は63歳,男性.朝方の労作時胸痛を主訴に当科に入院した.入院後の胸痛出現時の心電図では,I,II,aVL,V3~V6にST低下とV2~V5に陰性U波を認めた.トレッドミル運動負荷試験では,ST低下度,胸痛出現までの運動時間に日内変動および日差変動を認め,冠攣縮の関与が示唆された.大動脈造影では,右冠動脈の入口部は不明であり,冠動脈造影では,左冠動脈回旋枝が末梢より本来の右冠動脈領域まで灌流していた.また,左前下行枝近位部に50%狭窄を認めたが,運動負荷にて同部は99%狭窄となり,自然発作時と同様の心電図変化を伴った.以上よりSmith Type Iの左単冠動脈症に運動誘発性冠攣縮性狭心症を合併した1例と診断した.単冠動脈症の報告例は増加してきているが,冠攣縮性狭心症の合併を冠動脈造影にて証明し得たものはまれであり,運動負荷にて確定診断できたので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.26.4_403