下部消化管穿孔術後の一次縫合創に対する予防的陰圧閉鎖療法の検討

目的:手術部位感染(surgical site infection;以下,SSIと略記)は,重大な術後合併症の一つである.2022年4月に予防的陰圧閉鎖療法(prophylactic negative-pressure wound therapy;以下,pNPWTと略記)が保険適応となった.下部消化管穿孔に対する術後創部管理としてのpNPWTを検討した.方法:2020年4月から2023年12月に,下部消化管穿孔に対して緊急開腹手術を施行した48例を対象とし,pNPWT群:14例とNPWT非施行群:34例の2群に分けて周術期成績を検討した.結果:患者背景・手術因子は性別以外で有意差のある違いはな...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 58; no. 5; pp. 259 - 266
Main Authors 林, 葉子, 竹原, 琴音, 大門, 光寛, 田代, 浄, 武内, 寛, 佐藤, 賢太, 長久保, 源太, 河野, 義春, 吉村, 俊太郎, 森, 和彦, 石川, 慎太郎, 川崎, 誠治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.05.2025
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Summary:目的:手術部位感染(surgical site infection;以下,SSIと略記)は,重大な術後合併症の一つである.2022年4月に予防的陰圧閉鎖療法(prophylactic negative-pressure wound therapy;以下,pNPWTと略記)が保険適応となった.下部消化管穿孔に対する術後創部管理としてのpNPWTを検討した.方法:2020年4月から2023年12月に,下部消化管穿孔に対して緊急開腹手術を施行した48例を対象とし,pNPWT群:14例とNPWT非施行群:34例の2群に分けて周術期成績を検討した.結果:患者背景・手術因子は性別以外で有意差のある違いはなかった.NPWT施行群で表層SSIが有意に少なく,深部SSIには有意差を認めなかった.また,抗菌薬投与日数・術後在院日数・感染に関連した医療資源投入量に有意差を認めなかった.結語:下部消化管穿孔に対する術後創部管理としてのpNPWTは,医療費を増大させることなく表層SSIの発生を有意に低下させる有用な治療であることが示唆された.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2024.0027