乳牛の血清ヨード反応実用上の諸問題

ヨ反応はグロス反応に代る簡易な臨床検査法であることが各方面で報じられ, 筆者らも多少修正した方法を考案し1961年以来乳牛に応用してきたが, 実用上明らかにすべき諸点が残されていることを感じ, 試験の結果つぎの知見を得た. 1) 任意のピペットの1滴量たはかなり大きなバラツキがあり, このため試薬対血清の量比が不定となり, ヨ反応の再現性が低下する. 1/3注射針程度のガラス毛細管をもちい振動を与えないよう静かに滴下すればこの欠陥はかなり防げる. 2) 同一ピペットで連続多数の検体を検査するとき, ピペット内で前後の血清の混合がおこり, ヨ反応に影響を与えることがある.1検体ごとにピペットをぬ...

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Published in日本獣医師会雑誌 Vol. 18; no. 6; pp. 340 - 344
Main Authors 野本, 貞夫, 渡辺, 文男, 井上, 勇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 1965
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Summary:ヨ反応はグロス反応に代る簡易な臨床検査法であることが各方面で報じられ, 筆者らも多少修正した方法を考案し1961年以来乳牛に応用してきたが, 実用上明らかにすべき諸点が残されていることを感じ, 試験の結果つぎの知見を得た. 1) 任意のピペットの1滴量たはかなり大きなバラツキがあり, このため試薬対血清の量比が不定となり, ヨ反応の再現性が低下する. 1/3注射針程度のガラス毛細管をもちい振動を与えないよう静かに滴下すればこの欠陥はかなり防げる. 2) 同一ピペットで連続多数の検体を検査するとき, ピペット内で前後の血清の混合がおこり, ヨ反応に影響を与えることがある.1検体ごとにピペットをぬぐい去る注意が必要である. 3) 溶血血清ではヨ反応が強化し判定を誤りやすいので溶血防止に注意を要する. 4) 2重蔭酸加血漿ではヨ反応ははなはだ強く現われるので現行法では血清に代用できない. 5) 試薬は保存法さえよければ1年以上経てもヨ反応に大きな影響はない. 保存上注意すべき点はポリエチレン栓で密栓すること, 光線を避けること, 金属と接触させないことである. 6) 供試血清はとくに冷蔵は要しないが, 夏期4旧以内に供試すべきであろう.
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma1951.18.340