症例 甲状腺機能亢進症の経過中に急性心筋梗塞を合併し,正常冠動脈像を呈した1例
症例:64歳,主婦.主訴:胸部絞扼感.既往歴:1972年ごろより甲状腺機能亢進症のためmethimazoleの投与を受けていたが,患者の判断で中断していた.現病歴:1980年1月22日早朝,左前胸部絞扼感,動悸,悪心が出現,約5時間持続したため近医を受診,急性心筋梗塞が疑われ,当CCUへ緊急入院となった.入院時,脈拍100/分整,心音正常で眼球突出,甲状腺腫,手指振戦が認められた.自覚症状,ECG所見CPK610,α-HBD503,LDH 1,022などから急性心筋梗塞と診断,線溶抗凝固療法を行った.また,T3285ng/dl,T414.0μg/dlでTRH負荷試験によりTSHの分泌抑制のみら...
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Published in | 心臓 Vol. 15; no. 6; pp. 720 - 725 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
1983
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Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.15.6_720 |
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Summary: | 症例:64歳,主婦.主訴:胸部絞扼感.既往歴:1972年ごろより甲状腺機能亢進症のためmethimazoleの投与を受けていたが,患者の判断で中断していた.現病歴:1980年1月22日早朝,左前胸部絞扼感,動悸,悪心が出現,約5時間持続したため近医を受診,急性心筋梗塞が疑われ,当CCUへ緊急入院となった.入院時,脈拍100/分整,心音正常で眼球突出,甲状腺腫,手指振戦が認められた.自覚症状,ECG所見CPK610,α-HBD503,LDH 1,022などから急性心筋梗塞と診断,線溶抗凝固療法を行った.また,T3285ng/dl,T414.0μg/dlでTRH負荷試験によりTSHの分泌抑制のみられることから甲状腺機能亢進症と診断し,methimazole,propranololを併用した.発症後42日に施行した冠動脈造影では異常を認めなかったが,左室造影では前壁のakinesisがみられた.本例は,甲状腺機能亢進症に心筋梗塞を合併した点でまれであり,正常冠動脈像を呈することから,両者の関連を考える上で示唆に富む1例と考え報告した. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.15.6_720 |