研究会 第23回 河口湖心臓討論会 虚血性心筋障害 虚血心筋評価のための1H NMR spectroscopy
虚血心筋における代謝を評価するために,核磁気共鳴法(NMR)スペクトルスコープnuclear magnetic resonance(NMR)spectroscop法が応用された.プロトン(1H)スペクトルは水,脂質,クレアチン,コリンおよびクレアチニンに見られ,また,プロトンスペクトルは水についで脂質に多く存在する.心筋虚血に際し,心筋に脂質が蓄積することは良く知られており,この点に関してはNMRスペクトロスコピー法によっても確認された.イヌを24時間,冠動脈結紮し,NMRにて相当量の脂質の増加が観察された.同様にイヌの冠動脈を15分間結紮,3時間再灌流したmyocardial stunnin...
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Published in | 心臓 Vol. 22; no. 4; pp. 439 - 448 |
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Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
1990
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.22.4_439 |
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Summary: | 虚血心筋における代謝を評価するために,核磁気共鳴法(NMR)スペクトルスコープnuclear magnetic resonance(NMR)spectroscop法が応用された.プロトン(1H)スペクトルは水,脂質,クレアチン,コリンおよびクレアチニンに見られ,また,プロトンスペクトルは水についで脂質に多く存在する.心筋虚血に際し,心筋に脂質が蓄積することは良く知られており,この点に関してはNMRスペクトロスコピー法によっても確認された.イヌを24時間,冠動脈結紮し,NMRにて相当量の脂質の増加が観察された.同様にイヌの冠動脈を15分間結紮,3時間再灌流したmyocardial stunningにおいても脂質の蓄積が観察された.このモデルによる生化学的解析によりトリグリセリドやカルニチンが増加することが判明し,アシルカルニチンのような疎水性の脂質が増加し収縮機能を破綻させることが,stunning現象の1つの要因とも考えられる.最後に再灌流の15分冠動脈結紮イヌモデルにおいてもNMRスペクトルスコピー上,脂質の増加が認められた.さらに,chemical shift image法を用いて虚血心筋における脂質の蓄積および分布に関する解析をさらに行った .結論として,心筋内の脂質の変化をvisualizeできる1HNMRスペクトロスコピー法は心筋虚血を評価する新しい方法として有用であると考えられた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.22.4_439 |