臨床 急性貫壁性心筋梗塞回復期における冠閉塞群・非閉塞群の左室壁動態および心機能の比較検討

PTCRによる冠動脈早期再疎通の効果を推定するため,急性貫壁性心筋梗塞49例を対象に,それらを回復期の冠動脈造影所見にもとづき,100%閉塞群・90~99%狭窄群・90%未満狭窄群の3群に分類し,梗塞部位別に左室駆出率・局所壁運動を比較検討した. 局所壁運動異常をnormal 0点・reduced 1点・none 2点・dyskinetic 3点・aneurysmal 4点とスコアー化し,segmentごとに3群を比較した.閉塞群のスコアーが,前壁梗塞ではsegment 2で2.40±1.11点,下壁梗塞ではsegment 4で1.80±0.40点となり,他群に比較して有意に高得点となり,より...

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Published in心臓 Vol. 17; no. 2; pp. 147 - 155
Main Authors 三上, 雅人, 高橋, 正喜, 豊田, 文俊, 野崎, 英二, 野宮, 順一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1985
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.17.2_147

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Summary:PTCRによる冠動脈早期再疎通の効果を推定するため,急性貫壁性心筋梗塞49例を対象に,それらを回復期の冠動脈造影所見にもとづき,100%閉塞群・90~99%狭窄群・90%未満狭窄群の3群に分類し,梗塞部位別に左室駆出率・局所壁運動を比較検討した. 局所壁運動異常をnormal 0点・reduced 1点・none 2点・dyskinetic 3点・aneurysmal 4点とスコアー化し,segmentごとに3群を比較した.閉塞群のスコアーが,前壁梗塞ではsegment 2で2.40±1.11点,下壁梗塞ではsegment 4で1.80±0.40点となり,他群に比較して有意に高得点となり,より強い壁運動異常の存在が明らかになった.狭窄群間には以上の検討で差を認めなかった.心機能では,前壁梗塞の100%閉塞群で駆出率が35.2±11.2%と他群に比較して有意に低値となった(p<0.05).下壁梗塞では差がなかった. 以上の結果から,急性貫壁性心筋梗塞では冠動脈の非閉塞という状態が,心機能温存上重要である事が示唆された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.17.2_147