症例 ペースメーカー植え込み後に妊娠・分娩を経験した完全房室ブロックの4例

ペースメーカー植え込み後に妊娠・分娩を経験した4例において,妊娠中の経時的な心機能変化につき,心エコーを用いて検討した,基礎疾患は3度A-Hブロック3例,3度ヒス束内ブロック1例であった.使用されたペースメーカーは,症例1,2,3は,VVI型,症例4はDDD型であった.症例1における左室拡張末期径(以下LVDd)は,妊娠初期44mm,中期48mm,後期50mm,分娩後8週44mm,左室駆出率(以下EF)は妊娠初期0.74,中期O.70,後期O.78,分娩後8週O.74と変化した.症例2では,LVDdは妊娠初期46mm,中期51mm,後期46mm,EFは妊娠初期0.66,中期080,後期0.77...

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Published in心臓 Vol. 25; no. 5; pp. 555 - 559
Main Authors 小倉, 俊介, 中里, 祐二, 桜井, 秀彦, 大野, 安彦, 山口, 洋, 住吉, 正孝, 中田, 八洲郎, 久岡, 英彦, 戸叶, 隆司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1993
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.25.5_555

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Summary:ペースメーカー植え込み後に妊娠・分娩を経験した4例において,妊娠中の経時的な心機能変化につき,心エコーを用いて検討した,基礎疾患は3度A-Hブロック3例,3度ヒス束内ブロック1例であった.使用されたペースメーカーは,症例1,2,3は,VVI型,症例4はDDD型であった.症例1における左室拡張末期径(以下LVDd)は,妊娠初期44mm,中期48mm,後期50mm,分娩後8週44mm,左室駆出率(以下EF)は妊娠初期0.74,中期O.70,後期O.78,分娩後8週O.74と変化した.症例2では,LVDdは妊娠初期46mm,中期51mm,後期46mm,EFは妊娠初期0.66,中期080,後期0.77と変化した.また症例3,4においても同様に妊娠中期より後期にかけてLVDdの拡大を認め,これと並行してEFも増加を認めた.症例1,2,3は,VVIペーシングであり,心拍数は毎分70または72の設定された条件に固定されていた.しかし,心不全の合併はなく,1回拍出量の増加により,VVIペーシングでも妊娠中の循環血液量の増加に十分代償可能で,ペーシング拍数の増加やDDDペーシング, 心拍応答型ペースメーカーは必ずしも必要としなかった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.25.5_555