Monoamine Oxidaseに関する研究 (第58報) 犬血清, 肝臓および脳MAOに対する重金属の影響

犬血清, 肝臓および脳mitochondria MAOに対する種々重金属の影響を, 犬血清MAOの場合にはMcEwen法の改良法を, 犬肝臓および脳mitochondria MAOではWarburg検圧計を使用して測定し, 比較検討した.犬血清MAOに対して種々金属は, その濃度10mM付近で, HgCl2はほぼ完全に, K2Cr2O7およびNa2Cr2O7は約40%, CrCl3は約20%その活性を阻害した.HgCl2およびNa2Cr2O7の犬血清MAOに対する阻害作用の可逆性を透析法にて検討した結果, いずれもその作用は不可逆的であった.犬脳および肝臓MAOに対するCdCl2の影響はtyr...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 38; no. 3; pp. 333 - 338
Main Authors 小口, 勝司, 小林, 真一, 菊池, 隆一, 森, 甫夫, 深田, 潤, 萩原, 民郎, 松井, 律東, 高原, 和享, 佐藤, 博紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 1978
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.38.333

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Summary:犬血清, 肝臓および脳mitochondria MAOに対する種々重金属の影響を, 犬血清MAOの場合にはMcEwen法の改良法を, 犬肝臓および脳mitochondria MAOではWarburg検圧計を使用して測定し, 比較検討した.犬血清MAOに対して種々金属は, その濃度10mM付近で, HgCl2はほぼ完全に, K2Cr2O7およびNa2Cr2O7は約40%, CrCl3は約20%その活性を阻害した.HgCl2およびNa2Cr2O7の犬血清MAOに対する阻害作用の可逆性を透析法にて検討した結果, いずれもその作用は不可逆的であった.犬脳および肝臓MAOに対するCdCl2の影響はtyramineを基質にした場合, 10mM付近で肝臓MAOでは約20%, 脳MAOでは約40%の阻害が認められ, benzylamineを基質にした場合, 同濃度付近ではともに約25%の阻害が認められた.HgCl2の影響はtyramineを基質にした場合, 肝臓, 脳両臓器MAOはともに1mMで完全に阻害された.一方, CrCl3はいずれの基質を用いた場合も肝臓, 脳とも全く影響は認められなかった.Na2Cr2O7の犬肝臓, 脳MAO活性に対する影響はtyramineを基質とした場合, 脳では30mMで約55%の活性の増加が認められたが, 肝臓では逆に25%の阻害が認められた.benzylamineを基質とした場合, 同濃度において脳では50%のMAO活性の増加がみられ, 肝臓では30%の阻害がみられた.このことは脳と肝臓mitochondriaとではNa2Cr2O7に対して異なる態度を示すMAOが存在することが示唆された.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.38.333