HEART's Original [症例] 急性前壁心筋梗塞様の臨床経過を示し,心破裂で死亡した限局性心筋炎の1例

局所性の心筋炎により心破裂を来し,死亡した症例を経験した. 症例は83歳,女性で心窩部不快感を主訴に来院.心電図上前胸部誘導でST上昇を認め,心エコー図上心尖部の無収縮を示し,急性前壁心筋梗塞を疑わせた.保存的に加療していたが,第6病日に電気収縮解離(electromechanical dissociation)を来し,永眠.剖検で心尖部に約3cmの裂創を認めた.組織学的に心尖部では,全周性にわたって心筋細胞間の浮腫が広範に目立ち,単核球主体の炎症細胞浸潤,拡張した血管増生を伴う心筋線維の断裂・消失を認め,心筋炎による心破裂と診断された.局所性の心筋炎が起こった原因は不明であるが,急性心筋炎の...

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Published in心臓 Vol. 37; no. 2; pp. 143 - 147
Main Authors 山本, 啓二, 勝木, 孝明, 高屋敷, 典生, 三橋, 武司, 島田, 和幸, 中神, 理恵子, 村田, 光延, 斉藤, 建
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2005
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.37.2_143

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Summary:局所性の心筋炎により心破裂を来し,死亡した症例を経験した. 症例は83歳,女性で心窩部不快感を主訴に来院.心電図上前胸部誘導でST上昇を認め,心エコー図上心尖部の無収縮を示し,急性前壁心筋梗塞を疑わせた.保存的に加療していたが,第6病日に電気収縮解離(electromechanical dissociation)を来し,永眠.剖検で心尖部に約3cmの裂創を認めた.組織学的に心尖部では,全周性にわたって心筋細胞間の浮腫が広範に目立ち,単核球主体の炎症細胞浸潤,拡張した血管増生を伴う心筋線維の断裂・消失を認め,心筋炎による心破裂と診断された.局所性の心筋炎が起こった原因は不明であるが,急性心筋炎の中にも本例のような症例があることに注意する必要がある.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.37.2_143