症例 僧帽弁輪下左室瘤を合併した僧帽弁閉鎖不全症の1例

感染性心内膜炎の経過中に,巨大な仮性左室瘤を合併した僧帽弁閉鎖不全症例を経験した.僧帽弁後尖側弁輪直下に横径約2cmの瘤との交通部を認め,同部より生じた仮性左室瘤が左房とも交通したものと考えられた.左房左室内腔より僧帽弁人工弁置換術および瘤入口部閉鎖を行い,著明な心機能の改善を得た.手術時には既に心内膜炎の所見は見られず,仮性左室瘤発生の要因として僧帽弁輪石灰化による影響も考えられた.感染性心内膜炎に起因する仮性左室瘤はまれであり,僧帽弁輪下より生じた報告例はごく少数である.早期の診断と手術治療が必要と考える....

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Published in心臓 Vol. 25; no. 8; pp. 975 - 980
Main Authors 長田, 鉄也, 内山, 隆史, 伊吹山, 千晴, 内野, 敬, 木口, 英子, 増田, 茂, 石井, 壽晴, 工藤, 龍彦, 石井, 俊彦, 古川, 欽一, 橋本, 雅史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1993
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.25.8_975

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Summary:感染性心内膜炎の経過中に,巨大な仮性左室瘤を合併した僧帽弁閉鎖不全症例を経験した.僧帽弁後尖側弁輪直下に横径約2cmの瘤との交通部を認め,同部より生じた仮性左室瘤が左房とも交通したものと考えられた.左房左室内腔より僧帽弁人工弁置換術および瘤入口部閉鎖を行い,著明な心機能の改善を得た.手術時には既に心内膜炎の所見は見られず,仮性左室瘤発生の要因として僧帽弁輪石灰化による影響も考えられた.感染性心内膜炎に起因する仮性左室瘤はまれであり,僧帽弁輪下より生じた報告例はごく少数である.早期の診断と手術治療が必要と考える.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.25.8_975