気管切開術と腸閉塞手術を同時施行した経鼻胃管症候群の1例

症例は79歳の男性で,腹満と嘔吐を主訴に当院を受診した.腹部CTにて,小腸のcaliber changeを認めた.癒着性腸閉塞の診断となり,経鼻胃管を留置し,保存治療入院となった.第3病日にイレウス管を留置した.留置後2日目に強い咽頭痛にて事故抜去し,翌日にかけて吸気性喘鳴が出現,増悪したため,喉頭ファイバー検査を施行すると,両側声帯の外転麻痺,喉頭浮腫を認め,経鼻胃管症候群の診断となった.また,腸閉塞の改善は乏しかった.同日,手術室にて緊急気管切開術を行い気道確保した後そのまま腸管癒着剥離術を施行した.術後,腸閉塞は軽快した.術後20日目に声帯運動が改善し,術後25日目に転院となった.経鼻胃...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 58; no. 4; pp. 242 - 247
Main Authors 川井, 覚, 新宮, 優二, 矢野, 彦太, 緒方, 諒仁, 清板, 和昭, 大原, 規彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.04.2025
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2024.0055

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Summary:症例は79歳の男性で,腹満と嘔吐を主訴に当院を受診した.腹部CTにて,小腸のcaliber changeを認めた.癒着性腸閉塞の診断となり,経鼻胃管を留置し,保存治療入院となった.第3病日にイレウス管を留置した.留置後2日目に強い咽頭痛にて事故抜去し,翌日にかけて吸気性喘鳴が出現,増悪したため,喉頭ファイバー検査を施行すると,両側声帯の外転麻痺,喉頭浮腫を認め,経鼻胃管症候群の診断となった.また,腸閉塞の改善は乏しかった.同日,手術室にて緊急気管切開術を行い気道確保した後そのまま腸管癒着剥離術を施行した.術後,腸閉塞は軽快した.術後20日目に声帯運動が改善し,術後25日目に転院となった.経鼻胃管は臨床上よく使用するが,まれに両側声帯の外転麻痺,喉頭浮腫を呈する経鼻胃管症候群を起こす.発症すると改善まで時間を要し,気管切開が必要となることが多い.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2024.0055