後腹膜原発Müller管囊胞の1切除例

Müller管囊胞はMüller管由来の上皮に覆われた囊胞で,男性骨盤内に好発し,剖検例では1%弱にみられるまれな疾患と報告されている.今回,我々は貧血精査の際に偶然発見された後腹膜原発Müller管囊胞の1例を経験したので報告する.症例は51歳の女性で,受診1年前から易疲労感,左側腹部腫瘤触知を自覚していたが疼痛はなく経過観察していた.その後近医で貧血を指摘され,精査を目的に当院に紹介となった.精査中に偶然腹部CTで左中腹部に径10 cm大の囊胞性腫瘤が指摘された.腫瘤は左結腸動脈の背側に存在し後腹膜腫瘤と診断された.画像上悪性所見はみられず,良性の後腹膜囊胞と判断し開腹腫瘤摘出術を施行した...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 48; no. 5; pp. 429 - 435
Main Authors 林, 忠毅, 田村, 浩章, 池松, 禎人, 西脇, 由朗, 金井, 俊和, 矢田, 達朗, 大菊, 正人, 中村, 明子, 平山, 一久, 藤田, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2015
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2014.0192

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Summary:Müller管囊胞はMüller管由来の上皮に覆われた囊胞で,男性骨盤内に好発し,剖検例では1%弱にみられるまれな疾患と報告されている.今回,我々は貧血精査の際に偶然発見された後腹膜原発Müller管囊胞の1例を経験したので報告する.症例は51歳の女性で,受診1年前から易疲労感,左側腹部腫瘤触知を自覚していたが疼痛はなく経過観察していた.その後近医で貧血を指摘され,精査を目的に当院に紹介となった.精査中に偶然腹部CTで左中腹部に径10 cm大の囊胞性腫瘤が指摘された.腫瘤は左結腸動脈の背側に存在し後腹膜腫瘤と診断された.画像上悪性所見はみられず,良性の後腹膜囊胞と判断し開腹腫瘤摘出術を施行した.術後の病理組織学的検査では上皮性の後腹膜原発Müller管囊胞と診断された.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2014.0192