HEART's Original [症例] 巨大陰性T波の変化を伴った心筋浸潤非ホジキンリンパ腫の1例

症例は29歳,男性.2001年に骨原発の非ポジキンリンパ腫と診断され,大量化学療法,放射線療法で寛解に入っていた.2003年11月,非ホジキンリンパ腫再発のため入院となった.2004年3月,左室心尖部にガリウムシンチグラフィで集積像を指摘され,りンパ腫の心筋への浸潤が疑われた.心筋MRI,心エコー図では,心尖部の壁肥厚が出現し, 同時期の心電図で胸部誘導V3~6において巨大陰性T波を認めた. 化学療法により心筋MRI, 心エコー図では心尖部病変の退縮を,ガリウムシンチグラフィでは同部位の取り込み減少を来し,心電図においてT波はほぼ正常化した.その後,心尖部病変の再増大,縮小とともに心電図上,陰...

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Published in心臓 Vol. 38; no. 4; pp. 382 - 386
Main Authors 富田, 任, 伊藤, 正洋, 土山, 準二郎, 佐藤, 洋, 大崎, 暁彦, 高橋, 雄一, 木村, 新平, 本間, 圭一郎, 増子, 正義, 八木沢, 久美子, 池主, 雅臣, 小玉, 誠, 相澤, 義房
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2006
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Summary:症例は29歳,男性.2001年に骨原発の非ポジキンリンパ腫と診断され,大量化学療法,放射線療法で寛解に入っていた.2003年11月,非ホジキンリンパ腫再発のため入院となった.2004年3月,左室心尖部にガリウムシンチグラフィで集積像を指摘され,りンパ腫の心筋への浸潤が疑われた.心筋MRI,心エコー図では,心尖部の壁肥厚が出現し, 同時期の心電図で胸部誘導V3~6において巨大陰性T波を認めた. 化学療法により心筋MRI, 心エコー図では心尖部病変の退縮を,ガリウムシンチグラフィでは同部位の取り込み減少を来し,心電図においてT波はほぼ正常化した.その後,心尖部病変の再増大,縮小とともに心電図上,陰性T波の出現,消失を繰り返した. 非ホジキンリンパ腫の心尖部浸潤により,特異な心電図経過を示した1例を経験した.心疾患におけるST-T変化の成因については不明な点も多い.本症例では腫瘍細胞の浸潤により,心筋局所で興奮伝導遅延あるいは活動電位持続時間延長が起こり,巨大陰性T波が形成されたものと推察された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.38.4_382