臨床 心大血管手術における低体温法の応用

心大血管再手術例の多くは胸骨および心大血管周囲の癒着が強固で剥離操作中に予期しない大量出血をきたす場合がある.したがって,剥離が最小限にすませ出血による危険が極力回避できる低体温法は再手術例には価値ある関心手段であるとおもわれる.われわれは,1977年2月までに心大血管の再手術19例にエーテル深麻酔下表面冷却に中心冷却加温を併用する“バイパス超低体温法”を用い手術を施行した.患者の年齢は生後5ヵ月から20歳にわたっており疾患はFallot四微症短絡術後の二期的根治手術例をはじめ重症例が多く,死亡6例(呼吸不全3例,低心拍出量症候群3例)であったがいずれも原疾患によるもので本法が死亡原因となった...

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Published in心臓 Vol. 9; no. 12; pp. 1079 - 1084
Main Authors 垣畑, 秀光, 田中, 茂穂, 鈴木, 康之, 田所, 正路, 石沢, 栄次, 香川, 謙, 毛利, 平, 堀内, 藤吾, 臼井, 恵二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1977
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Summary:心大血管再手術例の多くは胸骨および心大血管周囲の癒着が強固で剥離操作中に予期しない大量出血をきたす場合がある.したがって,剥離が最小限にすませ出血による危険が極力回避できる低体温法は再手術例には価値ある関心手段であるとおもわれる.われわれは,1977年2月までに心大血管の再手術19例にエーテル深麻酔下表面冷却に中心冷却加温を併用する“バイパス超低体温法”を用い手術を施行した.患者の年齢は生後5ヵ月から20歳にわたっており疾患はFallot四微症短絡術後の二期的根治手術例をはじめ重症例が多く,死亡6例(呼吸不全3例,低心拍出量症候群3例)であったがいずれも原疾患によるもので本法が死亡原因となった症例はなかった.術後出血量は平均1ml/kg/hrで,1例に術後一過性の脳神経障害がみられた.心大血管の再手術例における本法の利点,適応について検討した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.9.12_1079