症例 精神的ストレスが主因と考えられる一過性心室細動の1例

精神的ストレスを主因として頻回の一過性心室細動が発生した1例を経験したので報告した.症例は51歳女性で精神的ストレスが最大に達したと考えられる状態に続いて,発作性心房細動,R on T現象を呈する心室性期外収縮,一過性心室細動の発生をみた.発作間欠期およびその後の安静時,運動負荷時の心電図所見には特記すべき異常は認めなかった他覚的には,軽度の貧血血清カリウム3.6mEq/L,軽度の腎機能低下を認めたが,冠動脈造影上異常なく,その他の器質的心疾患を思わせる所見も認められなかった. 本例にみられた心室細動の発生機序には,1-2の解決できない間題点は残るが,精神的ストレスにより交感神経系緊張充進が起...

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Published in心臓 Vol. 11; no. 3; pp. 304 - 309
Main Authors 中山, 章, 元田, 憲, 追分, 久憲, 浜田, 希臣, 神州, 繁, 吉長, 知史, 安田, 紀久雄, 清水, 賢巳, 小泉, 順二, 竹田, 亮祐, 勝木, 健一, 川崎, 英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1979
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Summary:精神的ストレスを主因として頻回の一過性心室細動が発生した1例を経験したので報告した.症例は51歳女性で精神的ストレスが最大に達したと考えられる状態に続いて,発作性心房細動,R on T現象を呈する心室性期外収縮,一過性心室細動の発生をみた.発作間欠期およびその後の安静時,運動負荷時の心電図所見には特記すべき異常は認めなかった他覚的には,軽度の貧血血清カリウム3.6mEq/L,軽度の腎機能低下を認めたが,冠動脈造影上異常なく,その他の器質的心疾患を思わせる所見も認められなかった. 本例にみられた心室細動の発生機序には,1-2の解決できない間題点は残るが,精神的ストレスにより交感神経系緊張充進が起こり,このため異所性自動能の充進をきたし心室細動に至ったと考えられ.きわめて珍しい症例と思われる.現在,β-blocker投与および精神療法にて経過観察中であるが,一度の再発もみていない。
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.11.3_304