HEART's Original [症例] 冠静脈洞型心房中隔欠損症の1治験成人例

心房中隔欠損症(ASD)は,先天性心疾患のなかで発生頻度が高いため,疾患の特徴,および鑑別疾患を熟知したうえで,診断・治療を施行することが必要とされる.今回,われわれは,術前に2次孔欠損型ASDと誤診し,術中に冠静脈洞型ASDと判明した1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する. 症例は52歳の女性である.術前の心エコー検査,および心臓カテーテル検査では2次孔欠損型ASDと診断した.しかし,術中に卵円窩はintactで,通常冠静脈洞(CS)が開口する部位に40×20mmの欠損孔を認めた.CSは左房に存在し,Unroofed CSの形態を呈し,冠静脈洞型ASDと診断した.左上大静脈遺残...

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Published in心臓 Vol. 37; no. 2; pp. 155 - 158
Main Authors 三浦, 崇, 長嶋, 光樹, 富野, 哲夫, 佐藤, 晴瑞, 北條, 禎久, 大谷, 享史, 岡本, 佳樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2005
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Summary:心房中隔欠損症(ASD)は,先天性心疾患のなかで発生頻度が高いため,疾患の特徴,および鑑別疾患を熟知したうえで,診断・治療を施行することが必要とされる.今回,われわれは,術前に2次孔欠損型ASDと誤診し,術中に冠静脈洞型ASDと判明した1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する. 症例は52歳の女性である.術前の心エコー検査,および心臓カテーテル検査では2次孔欠損型ASDと診断した.しかし,術中に卵円窩はintactで,通常冠静脈洞(CS)が開口する部位に40×20mmの欠損孔を認めた.CSは左房に存在し,Unroofed CSの形態を呈し,冠静脈洞型ASDと診断した.左上大静脈遺残は認めなかったため,房室結節の損傷に注意し,CSを左房に還流するように欠損孔閉鎖術を施行した.術後18日目に退院となった.本例を経験し,ASDの診断とはいえども,鑑別疾患を十分考慮したうえで施行することが必要であると考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.37.2_155