症例 先天性家族性房室解離の1例

先天性遺伝性家族性房室解離の報告は国外においても非常に少なく,本邦においては見当らない.われわれは房室解離を示した1症例にて,8名の兄弟とそれぞれの子供12名の心電図をとり,その内8名に房室解離を認めた.患者は38歳の女性で胸部圧迫感,心悸亢進を訴え来院,房室解離と狭心症を認めている.著明な洞徐脈はみられず,sinus rateが毎分73以下程度にて房室解離がみられ患者家族でも同様の傾向を示した. His束心電図は正常,洞機能回復時間は延長を認めなかった.患者の家系で房室解離を示した大部分は自覚症状はなく,心雑音,心拡大なども認められず,それぞれ平常の生活を送っている.また房室解離のみられない...

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Published in心臓 Vol. 7; no. 10; pp. 1216 - 1220
Main Authors 山本, 博晟, 楠山, 良雄, 元木, 賢三, 神保, 園子, 畠, 俊介, 西尾, 一郎, 増山, 善明, 前田, 次郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1975
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Summary:先天性遺伝性家族性房室解離の報告は国外においても非常に少なく,本邦においては見当らない.われわれは房室解離を示した1症例にて,8名の兄弟とそれぞれの子供12名の心電図をとり,その内8名に房室解離を認めた.患者は38歳の女性で胸部圧迫感,心悸亢進を訴え来院,房室解離と狭心症を認めている.著明な洞徐脈はみられず,sinus rateが毎分73以下程度にて房室解離がみられ患者家族でも同様の傾向を示した. His束心電図は正常,洞機能回復時間は延長を認めなかった.患者の家系で房室解離を示した大部分は自覚症状はなく,心雑音,心拡大なども認められず,それぞれ平常の生活を送っている.また房室解離のみられない時期にAschner試験を行ない,容易に上記不整脈を誘発しえた.本家系の遺伝形式より,この不整脈は常染色体性優性遺伝と考えられる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.7.10_1216